Research Abstract |
高齢患者の(1)痴呆罹患率とせん妄の発生率,(2)転倒・転落の発生率,(3)抑制・安全具使用状況,(4)看護職員の組織文化について,発生率・使用状況・関連要因を探索した。文献調査では,文献データベースから国内外の研究レビューを行い,定義と研究手法の洗練を行った。 先進モデル施設調査:北欧の急性期ケア3病院の看護管理者・研究者への面接調査では,標準化スケールや指標を活用したケアの質監視,ケア人員の充実と教育,環境のバリアフリー化が組織文化の特色であった。北米の急性期ケア5病院における臨床専門看護師と看護管理者への面接調査では,標準化スケールを活用したケアの構造化・標準化,精神看護領域専門の患者対応法,抑制に関する北米基準の順守徹底が挙げられた。同国の長期療養1施設では,せん妄評価項目を含む全米基準MDSに基づいたケアプランの連動を調査した。その結果,多職種協働・連携システムの構築,最低品質の保証システム,データ活用とケアの改善・標準化が体系的に行われることが,ケアの質向上に必要な組織文化であった。国内では,先進的な高齢者ケアを特色とする病院の臨床専門看護師に面接し,病棟独立運営性の導入と競争原理による質向上,サービス顧客(職員相互を含む)評価と人事への反映,年単位の職員教育目標の明確化と徹底などが,ケアの質向上に貢献する組織文化であった。 多施設および介入調査の予備調査として,協力の得られた関東首都圏の大学附属病院において,せん妄に関する看護職員参加型の問題解決・臨床改善支援を行った。定期学習会により,ケア実践課題や方策を特定し,標準化スケールの使用について看護師の訓練と臨床実践導入,予備データ収集および予備解析を行った。また,睡眠活動パターン測定器の予備調査を実験室内にて実施した。今後は,現象発生率測定の信頼性を高める方法を継続検討し,施設調査を通して患者アウトカム測定を行う。
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