2005 Fiscal Year Annual Research Report
療養病床におけるせん妄・転倒の発生率,抑制・安全具の使用状況と関連要因
Project/Area Number |
16390626
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
綿貫 成明 藍野大学, 医療保健学部, 助教授 (20270902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 正子 藍野大学, 医療保健学部, 学部長(研究職) (00251215)
菅田 勝也 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20143422)
酒井 郁子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助教授 (10197767)
大町 弥生 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (90269770)
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Keywords | 高齢者 / 認知機能障害 / せん妄 / 転倒・転落 / 抑制 / 安全具 / 組織文化 |
Research Abstract |
一般病床における調査および介入研究として,関東首都圏の特定機能病院1施設・外科4病棟の参加協力が得られた。せん妄に関する看護職員参加型の問題解決支援の一環として定期学習会およびインタビューを実施し,ケア実践上の課題や方策を特定した。また,同4病棟の看護師に標準化スケール使用の訓練を行った後,せん妄の発症および関連要因とケアの内容についてデータを収集した。心臓外科,整形外科,脳神経外科,泌尿器科から,54名の患者の同意と参加が得られ,そのうち9名(16.7%)にせん妄の症状が見られた。方法上の課題として,術後の鎮静や抗痙攣剤投与後の意識レベル低下とせん妄との区別,認知機能のベースライン測定に用いた標準化スケールが受ける加齢・学歴・生活特性の影響,身体拘束についての管理者レベルでのシステム・アプローチなどについて,工夫や対応の必要性が指摘された。 また,関東首都圏下で行われた看護系団体の研修において,主に一般病院から参加した看護師を対象に意識調査を行った。同意の得られた参加者(N=194)の回答を分析した結果,一般的に必要とされる疼痛管理や環境調整の実施率は高かった(70-80%)が,標準化ツールの使用や患者を中心とした生活調整の実施率は低かった(10%未満)。安全対策の機器類の導入は,既に導入済みで頻回に使用している場合と,全く導入していない場合とに分かれた。 居宅療養施設の調査では,職員参加型の問題解決と実践変革の支援を行った。ケアについて職員が困難と感じる場面や対応について,複数の事例検討会やインタビューを通じて明らかにした。認知障害のある入居者の体験世界の理解,他職種の業務実践上の連携や責任分担の課題などが抽出された。 今後,これらの結果をもとにさらにデータ収集・解析を進め,転倒・転落や点滴抜去,身体拘束など安全上の課題,職員の意識や組織文化との関連や介入の方向性を検討する。
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