2004 Fiscal Year Annual Research Report
摂食・嚥下障害患者への包括的医療・看護ケアにおける臨床評価と安全性の基準作成
Project/Area Number |
16390636
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
千葉 由美 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 助手 (10313256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山脇 正永 東京医科歯科大学, 医学部付属病院, 助教授 (30302855)
植松 宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80100957)
森田 定雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20202426)
佐々木 明子 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (20167430)
田高 悦子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30333727)
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Keywords | 摂食・嚥下障害 / 包括的医療・看護 / 標準化 / 臨床評価 / 安全性 / 基準作成 / 介入プロトコール / VF (videofluarography) |
Research Abstract |
疾患発症により摂食・嚥下障害の発生あるいは急性憎悪した患者に対する早期チームアプローチのための医療介入プロトコールとケア方法の基準作成を試みている。嚥下機能を評価するには、VF (Videofluarography)がもっとも信頼性の高い方法といわれているが、評価や判断の基準が定量化されていないため、より詳細なVF評価表と判断指標の作成し、VF経験のある実践者で内容を定量的に検討した。画像上の誤嚥評価の一致率は諸外国と同様に高い割合がえられたが、口腔・咽頭・食道部位の機能評価別でみた際に、評者間でばらつきが見られており、評価の困難な現状を捉えた。今後、これらの標準化のためには、使用したビデオ媒体、評価表、判断基準の精度の向上、実践者の能力向上のすべての内容に関する改善が課題であることが明確になった。他機関での再現性を高めるためには、これらの作業が急務である。また、検査に使用するバリウム製剤の作成方法は、ほぼ安定してきており、他機関での利便性を高めるための方法も検討している。熟練した実践者のVF検査による誤嚥の発生率はほとんどなく(あっても検査中断の判断を複数の検者で判断しており、肺炎発生の原因と考えられるものはない)、検査の安全性が期間中、確保されていた。また、特定機能病院であってもVFの検査対象は経口摂取開始の評価する対象と機能のレベルを評価する対象とに分類される必要性があり、ケア介入のための基準は各々で検討していくことも今後の課題のひとつである。これは特に急性期病院では対象の特性によって全身状態や治療・ケア方針が大きく異なり、もともとの患者の有するリスクに左右される背景がある。以上の内容を前提とし、非経口摂取であった者が開始となった患者は1割以上いたが、まったく問題のなかった患者が含まれていた。さらに、臨床上開始が可能と判断され、すでに食事が開始されていた場合であっても、誤嚥が検出される場合があった。後者の場合には代償的な方法としてVF上では食形態、材料特性のほか、姿勢(頚部:屈曲伸展、左右回旋、左右側屈、腰椎部:屈曲、左右回旋、左右側屈)、一口量の監視によって誤嚥が軽減、消失することが確認されており、これらの項目はベッドサイドでのケアを実践する際に、誤嚥予防のための重要因子となる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)