2005 Fiscal Year Annual Research Report
摂食・嚥下障害患者への包括的医療・看護ケアにおける臨床評価と安全性の基準作性
Project/Area Number |
16390636
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
千葉 由美 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 助手 (10313256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山脇 正永 東京医科歯科大学, 医学部付属病院, 助教授 (30302855)
植松 宏 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80100957)
森田 定雄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (20202426)
佐々木 明子 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (20167430)
田高 悦子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30333727)
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Keywords | 摂食・嚥下障害 / 包括的医療・看護 / 標準化 / 臨床評価 / 安全性 / 基準作成 / 介入プロトコール / VF(videofluorography) |
Research Abstract |
特性機能病院におけるVF(Videofluorography)施行の約150症例のデータに基づき、誤嚥予防のために必要と思われる重要項目を探索するために、体位、食事形態(検査食)、簡易的に実施可能な嚥下機能評価指標を分析した。体位と食事形態との関係については、固形や液体の検査食を摂取できる患者は、VF上においてもベッドアップの角度は90度維持が可能の者が有意に多くなっていた。しかし、ゼリー検査食が食せる程度の嚥下機能の場合、ベッドアップの角度は、固形検査食が安全に食せる患者に比較し、90度維持できる割合が有意に低く、ゼリー検査食、トロミ検査食では、半数以上が20度から60度程度のベッドアップしかできず、この角度以上になると誤嚥が検査上でも発生することが示された。また、VF下で安全な経口開始を進めるための条件として、検査食形態、頚部前屈位、回旋、腰椎部側屈、前屈、回旋の5つの角度の組み合わせの視点が重要であるが、検査食形態と頚部回旋、誤嚥の有無との関係性がみられたことから、特に経口摂取開始の場合には、嚥下機能が重度であるほど、体位と食事形態への配慮が重要であることが数量的に示された。また、咽頭部の機能評価の一つであるRSST(repetitive saliva swallowing test:反復唾液嚥下テスト)との関連で見ると、VF検査対象は、検査食の形態とRSSTの回数とは相関が見られたことから、臨床指標としての咽頭部評価がある程度、利用できる可能性が示唆された。ただし平均して異常値のカットオフである3回未満である割合が圧倒的に高かったことから、喉頭の動きそのものを評価する視点を詳細化することが今後の課題である。障害重症者を含む誤嚥のindicator(指標)は主疾患、誤嚥性肺炎既往であった。 さらに、現疾患に伴う嚥下障害野安定期にある患者に対し、約10名と少数例ではあるがリハビリテーションの要素(関節可動域および負荷訓練)を考慮した嚥下訓練体操(間接訓練)を暫定的にメニュー化し、介入調査を試みたところ、RSSTおよび改訂水のみテストともに、即時的、経時的効果が確認されたことから、食前の準備体操としてしっかり実践することに意義があると考えられた。特別な道具を用いないでも実施できる信頼性の高い非侵襲的評価、ケアの内容を標準化するために、対象の嚥下障害重症度別に実践できる間接訓練、食物を用いた直接訓練の方法を整理すべく、さらにデータ収集、分析する予定である。
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Research Products
(5 results)