2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病患者へのヒューマン・ケアリングアプローチの有用性の検討
Project/Area Number |
16390643
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
野並 葉子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (20254469)
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Keywords | 糖尿病患者 / ケアリング / エンボディメントケア / 糖尿病 / 病気 / 生活 |
Research Abstract |
平成16年度に引き続き、ヒューマン・ケアリングの考えを基にした、糖尿病患者への看護実践の知識と技術を体系化した看護実践モデルの洗練を行った。その結果、生活習慣病としての糖尿病、人の体験としての病気(illness)を、身体の体験の累積としての生活、生活の体験の積み重ねとしての病気(illness)というように理解し、体験するケアが明らかになった。4つのコアとなるケア、「あいまいな体験に輪郭を与える」、「身体の理解を深める」、「身体の信頼感を取り戻す」、「新しい対処法(生活習慣)が身につく」を導き出した。人は、自分が置かれている状況に関与しながらそこに意味を見いだし、その人の生き抜いている意味に基づいて実践(生活)している。つまり、人は病気という状況に対しても、それまで身につけた状況への関与のあり方を通じて、新たな体験をしていくという考えに立っている。 知と行為の働きにとっての基盤としての身体を主軸にし、糖尿病患者の身体に根ざした知を引き出す看護ケア(nursing care)を、エンボディメント(embodiment)ケアとして構造化した。その看護実践のプロセスで、看護師は思考と行為と感情を一体としてケアリングを体現する(エンボディメント)。そのプロセスで看護師自身、ケアする自分を意識し、患者の元に居合わせ、共に喜び、信頼することを体験する。 一方、このエンボディメントケアをとおして患者は、語りとして言葉が出てくる、物語が変わる、気持ちがでてくる、安定するというように行為と思考と感情を一体として体験する。つまり、このエンボディメントケアをとおして、患者に新たな体験が促され、思考と感情と行為が一体となった気遣いの実践を取り戻していく。そうすると、患者のなかに安定が身に付き、生活を取り戻していくようになる。生活を取り戻し、安定することがwell-beingな状態であった。 有用性を検討するために、介入プロトコールの詳細な検討を行った。
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