2006 Fiscal Year Annual Research Report
「海の道」からみたアジアの太鼓の伝統的伝承システムの形成に関する国際共同研究
Project/Area Number |
16401004
|
Research Institution | OKYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 宏子 岡山大学, 教育学部, 教授 (70362944)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳丸 吉彦 放送大学, 教養学部, 教授 (00017138)
鈴木 正崇 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (10126279)
垣内 幸夫 京都教育大学, 教育学部, 教授 (50117420)
細井 尚子 立教大学, 社会学部, 助教授 (40219184)
|
Keywords | 国際研究者交流 / 太鼓 / インド・中国 / 海の道 / 口唱歌 / 口太鼓 / 伝承システム / 音楽 |
Research Abstract |
本年度はインドと中国で調査をおこなった。インドでは、海のシルクロードにおいて胡椒貿易で栄えたコーチンがあるケーララを調査地に選んだ。ケーララでは、3つの側面から資料を収集した。 1、実際のコンテクストの中でおこなわれた祭・儀礼・芸能を参与観察し、関係者の許可が得られたものは、写真やVTRで記録作成をおこなうことができた。マンガロールでは、ガネーシャ寺院での儀礼および奉納のための舞踊劇ヤクシャガーナ、ガネーシャ祭の行列など。トリチュールでは、オーナム祭の儀礼、象祭の楽隊、クマティ祭の芸能の行列。イリンジャラクダでは、オーナムの花飾りおよび儀礼的な会食、寺院での太鼓の奉納、コッティアム近郊でのボートレースなどである。2、芸能の芸態つまりテクストそのものの分析に資する資料として、上演を依頼し、舞踊劇や人形劇・舞踊などを7回収録した。3、4種の太鼓をそれぞれの伝承者から合計16回(実質的には約20時間)習い、口唱歌と伝承方法についてのインタビューでデータを集積した。 中国では、昨年までの調査で得たデータの補足をおこなった。 これまでの調査と付き合わせると、口唱歌には、「インド系単音オノマトペ型」と「中国系重音オノマトペ型」の2つの文化圏があることが分かってきた。また、単に太鼓の音を真似て歌う「単純口唱歌」と、そを体系化した「システムロ唱歌」の2つのレベルの文化圏があることも分かってきた。両要素は必ずしも連動してなくて、それらの重なり具合は複雑な様相を呈している。さらに、それらを比較すると、「聞き做し」のオノマトペが、発展し体系化し、伝承システムとして構築されるには、太鼓というテクストだけではなく、太鼓を取り囲むさまざまなコンテクストが影響を及ぼしていることが明らかになってきた。
|
Research Products
(8 results)