2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16401014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西秋 良宏 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (70256197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 邦夫 東京大学, 統合研究博物館, 助手 (10272527)
小口 高 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教授 (80221852)
鹿島 薫 九州大学, 理学研究院, 助教授 (90192533)
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Keywords | メソポタミア / 新石器時代 / 農耕牧畜 / 古環境 / 土器製作開始 / 年代測定 / 古気候 / テル・セクル・アル・アヘイマル |
Research Abstract |
北メソポタミア西部にあるシリア、ハブール平原においてテル・セクル・アル・アヘイマル遺跡の発掘(第6次)をおこない、当該課題に関わる調査資料の収集・研究を実施した。また、国内においては収集標本の分析、年代測定などをおこなった。以下に概要を記す。 (1)二つの発掘区で処女層に到達し、新石器時代の文化推移を長期的に調べるうる資料をえた。最古の居住は従来の推定通り先土器新石器時代B中期にさかのぼること、当遺跡がシリア領メソポタミア最古の農耕村落遺跡であることをあらためて立証できた。一方、出土遺物、建築の分析により、先土器新石器から土器新石器時代への移行がきわめて漸進的におこったこともわかった。また、先土器期の建築が東南トルコ・北イラクと類似する一方、土器新石器時代のそれは北イラクとの類似しか示さないこともわかった。これは、北メソポタミア初期農耕文化の伝統が、その頃、形成されたことを示唆するものと考えられた。 (2)新石器時代層から得られた炭化物の年代測定を実施した。その結果、当遺跡における先土器先土器・土器新石器時代の移行年代を紀元前7000年から6900年に絞り込むことができた。 (3)現地河原で得た石器の原石と出土した石器の原石種を比較分析し、新石器時代人の原石調達、輸入システムについて新知見を得た。 (4)衛星写真、現地でのデジタル地形測量データを解析し、遺跡が立地するハブール川段丘面の形成プロセスについて考察した。 (5) 2004年度にハブール平原南東で実施したボーリング調査で得た植物プランクトン化石を分析した。また、サンプルの年代測定をおこなった。その結果、紀元前7000年頃、気候変動があったことが推察された。この知見はテル・セクル・アル・アヘイマル遺跡における文化変化の時期とおおよそ一致するものである。
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Research Products
(16 results)