2006 Fiscal Year Annual Research Report
地域社会の文化遺産から探るイスラーム陶器の文化的変遷
Project/Area Number |
16401016
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 達夫 金沢大学, 文学部, 教授 (60111754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 花江 金沢大学, 埋蔵文化財調査センター, 助教授 (40303276)
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Keywords | イスラーム陶器 / アラビア半島 / 遺跡出土品 / 組み合わせ研究 / 編年研究 |
Research Abstract |
平成18年度の研究は平成17年度に実施した研究の継続が中心である。国外ではマサフィ砦、ディバ町跡、コールファッカン町跡を発掘した。第5次調査となるコールファッカン港町遺跡ではイスラーム陶器と中国・ミャンマー陶磁器が建物室内及び水タンクから出土し、イスラーム陶器の編年研究に良好な資料を提供した。 国内研究会でいくつかの成果を発表した。「ヘレニズム〜イスラーム考古学研究会」ではハレイラ島出土の青釉陶器の編年的問題を提起し、ササン・ウマイア朝時代の陶器編年を検討した。「オリエント学会」ではアッバース朝と唐代の陶磁器の技術的交流の実態を具体的な陶器を示して提起した。「西アジア考古学会」ではマサフィ砦から出土した近世陶磁器の世界的な広がりを紹介した。それらの資料を含めて愛知県陶磁資料館「ペルシアのやきもの展」で開催したシンポジウムで、イスラーム陶器の問題点と研究成果をまとめた。 今年度に論文となった成果。「オマーン湾岸北部地域の遺跡出土陶磁器」(『金沢大学文学部論集史学・考古学・地理学篇』27,203-282)は、これまで調査した遺跡出土の陶磁器のうち、オマーン湾岸の資料を整理し報告した。「西アジアに輸出された14〜15世紀の東南アジア陶磁器」(『地域の多様性と考古学』雄山閣、23-36)は、東南アジアの陶磁器がペルシア湾の遺跡からどのように出土するかをまとめ、イスラーム陶器との組み合わせ、量的関係、種類と器種の関係を層位別に描き出した。「ジュルファール出土陶磁器の重量」(『金沢大学文学部論集史学・考古学・地理学篇』26:51-202)は前年度末(2006年3月)の発表であるが、前年度の研究実績概要に取りあげなかったので、今回紹介する。遺跡出土陶磁器を種類別・層位別に重量を計測する仕事を成し遂げ、イスラーム陶器の全体的な様相を知る基本的資料を提供した。
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Research Products
(13 results)