2005 Fiscal Year Annual Research Report
トラキア民族の形成と系統に関する考古学的・人類学的調査・研究
Project/Area Number |
16401019
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
禿 仁志 東海大学, 文学部, 教授 (10186009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金原 保夫 東海大学, 文学部, 教授 (20161614)
永倉 貢一 東海大学, 医学部, 講師 (80142454)
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Keywords | 考古学 / 人類学 / 青銅器時代 / ブルガリア / トラキア人 / 集落 / 発掘 / DNA分析 |
Research Abstract |
研究計画に従いブルガリア共和国・トラキア平野中に所在するテル・デャドヴォ遺跡の第17次発掘調査を2005年夏3週間にわたって実施した。調査の目的はトラキア民族形成期とされる前期青銅器時代集落の構造を把握することであり、そのため従前より継続して調査されていた遺跡内の住居群地区を更に掘り下げ、住居と住居群に関する情報を更に蓄積することと、集落外縁部を画する石塁や環濠のような施設の存否を地中探査レーダーにより実施し、施設存在の可能性が認められる一部について試掘調査を行うことであった。 住居群地区からは新たに3軒の住居が検出され調査された。これらは前年度に調査された住居群の下層からそれぞれ検出されたもので、同一地区のほぼ同じ位置に同一の規模と形態を持ち、同一の方向で立ち並ぶ住居が連続して構築されていたことが明らかとなった。トラキア前期青銅器時代集落の特徴を示すものと考えられる。 遺跡東斜面部で実施した地中探査で集落外縁部を画する施設存在の反応が得られたため、この部分に幅1.5m、長さ15mのトレンチを設定して試掘調査を行った。しかし表土直下から中世に属する礫敷き施設が検出され、その下層の調査にまで至らなかった。青銅器時代集落外縁部施設の存否については今後の課題として残されたことになる。 研究計画のもう一つの目的であった古人骨からのDNA採取に関しては、ブルガリア科学アカデミーの協力により青銅器時代資料を中心に新たに45検体について実施することができた。現在研究分担者により分析作業を実施中である。 その他、我が国では入手困難なトラキア民族形成期に関連するとされるマリッツァ・イーストック遺跡群報告書を全巻入手し、分析研究を開始している。
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Research Products
(5 results)