2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける重工業の展開と日本の技術移転に関する調査研究
Project/Area Number |
16402016
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
上田 修 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (30160162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 捷生 大阪市立大学, 大学院・創造都市研究科, 教授 (50255634)
荒川 淳三 札幌大学, 経営学部, 教授 (40202733)
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Keywords | 中国 / 鉄鋼業 / 造船業 / 重工業 / 国家発展改革委員会 / 新型工業論 / 中国社会科学院 |
Research Abstract |
本年度は、調査企業との折衝をはじめとして海外調査の実務面の担当者が、海外で事故に遭い、長期入院、リハビリ療養を余儀なくされたため、当初の計画を変更し、前年度に実施した中国調査によって明らかとなった論点をより深めることとした。昨年度、われわれは中国鉄鋼業と同造船業を軸とする重工業部門の急速な発展と現状に関して、企業調査と中国側研究者との意見交換をおこない、同部門が抱える問題の一端について検討した。これを踏まえ、今年度は急速な産業発展とそれがもたらす負の側面を中国政府サイド、とりわけ政策立案担当者ならびに研究者がどのよう捉えているのかという側面に焦点をあわせ調査することにした。まず(1)中国社会科学院の研究者から、中国造船業の抱える問題に関して、造船企業が2大船舶集団へと集約されつつあるものの、造船各社における生産性のばらつきが大きいこと、今後の産業発展に欠かしえない主機関係の内製率が低く、また高付加価値船の建造量も少ないといった、産業構造に関わる点を中心に話を聞いた。次いで、(2)中国政府の鉄鋼業を中心とした重工業政策について、政府の政策立案に重要な役割を果たしている国家発展改革委員会傘下の各研究所の研究員(政策立案担当者)に対してインタビュー調査をおこなった。この結果、中国政府の産業政策は従来の工業化論から新型工業化論と呼ばれる政策へと変更されたこと、このプロセスで重工業の位置づけが変化したこと、また後者の政策において重工業部門は構造調整の対象として生産の集中度を高め、さらにリサイクル経済に取り組むという政策の方向性が明らかにされた。
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