Research Abstract |
国際連合が主体となって計画された,ロシア・中国・北朝鮮国境地域における開発事業の進行に伴い,日本海対岸に位置する日本海側地域において,大気環境の変化がおこると予想されている。この開発事業が環日本海域における大気環境に及ぼす影響を見積もるため,この地域における大気エアロゾルを継続して採集し,その化学分析を行う。具体的には,大気エアロゾル成分のうちの,鉄をはじめとする重金属成分の分析と,化石燃料燃焼によって生成する多環芳香族炭化水素とニトロ多環芳香族炭化水素を分析し,その経時変化を解析する。共同研究者早川,丁子,張らは既に大気試料と海洋降下試料について分析を開始し,一部は今年度に論文として報告した。 今年度は,ロシア科学アカデミー極東支部(以下,極東支部)と学術提携を結び,具体的な大気エアロゾル採集箇所の決定,実験の進め方について協議した。尚,ロシア国内の大気試料を持ち出しにくい状況となったことから,当初の実験計画を変更し,無機物質の分析については,同一エアロゾル試料について極東支部と日本国内で別々の手法により分析してその結果を比較し,精度を確認する,また,有機物質の分析については,分析装置である液体クロマトグラフを日本よりロシアに輸送し,ロシア国内で分析することとし,同一条件で分析ができるように実験方法を変更した。現段階までに,大気エアロゾル採集用フィルターの分析結果の日本とロシアでの機器による分析を行っている段階であり,近日中に結果を比較することになっている。
|