2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国浙江省龍遊洞窟遺跡の年代特定,世界遺産登録および空洞安定性に関する学術調査
Project/Area Number |
16404012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷本 親伯 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10109027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 圭吾 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10362667)
今井 克彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30301253)
橘 英三郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (80029165)
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Keywords | 洞窟遺跡 / 電気探査 / 粘土鉱物 / 3Dスキャナー / 温湿度 / 風化 / 砂岩 / 無水ボーリング |
Research Abstract |
本研究の目的は,1992年に中国浙江省龍游市郊外において発見された24の水没した地下石窟のうち,排水された5つの石窟における岩盤の劣化,風化状態を保存科学および地盤工学的見地から学術的に解明することである.本研究における研究計画とそれによって得られた主な成果を以下に記す. 1.3Dレーザースキャナーによる石窟形状計測 地下石窟の形状把握と空洞安定性評価の目的から3Dレーザァスキャナーを用いることで,排水された5つの石窟形状を3次元点群データとして記録した.また,これにより各洞窟の位置関係,および地上と石窟の位置関係についても3次元座標として把握した. 2.岩盤風化に着目した石窟周辺地盤の水分分布状況の解明 電気探査により石窟周辺の地盤の比抵抗分布を調査することで,岩盤中の水分分布状況を把握した.また,分析した地盤の比抵抗分布図と地質調査,3Dレーザースキャナーによる各石窟の位置関係の把握により,石窟周辺地盤内の水分の移動状況を確認した. 3.石窟を構成する砂岩の風化特性に関する分析 現地で採取した岩石を用いて,龍游砂岩の構成特性,風化度,風化と水の関係,風化メカニズムとその保存方法について検討を行った.その結果,龍游砂岩は風化に影響を与える粘土鉱物を多く含んでいること,固結度が低い泥質砂岩であり,浸水崩壊度が高いことがわかった.また,粘土鉱物-水の相互作用の影響によりアルカリ性の高い地下水が分布し,これが龍游砂岩の風化・劣化に影響を与えていることなどが確認された. 4.石窟内気象環境モニタリング 石窟を構成する砂岩の風化は地盤内の水分と岩石の反応だけでなく,大気中の温湿度の影響にも左右される.そのため石窟内の各所に温湿度センサを設置し,長期的な石窟内環境モニタリングを行なった.その結果,風化に影響を与える結露の可能性が確認された.また,石窟内部は年間を通じて常に高湿度環境下に置かれていることが確認された.
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Research Products
(5 results)