2006 Fiscal Year Annual Research Report
干ばつに対するモンゴル草原生態系の自己修復機能の実験的解明
Project/Area Number |
16405002
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
篠田 雅人 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (30211957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恒川 篤史 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (60227452)
田村 憲司 筑波大学, 大学院・応用生物化学系, 助教授 (70211373)
木村 圭司 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (30294276)
中野 智子 首都大学東京, 大学院・都市環境科学研究科, 助手 (70295468)
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Keywords | 干ばつ / 草原生態系 / 大気陸面相互作用 / モンゴル / 蒸発散 / 土壌水分 / 野外実験 / レジリエンス |
Research Abstract |
本研究の目的は、近年干ばつが頻発するモンゴル草原乾燥地域において、人工干ばつ実験区と刈り取り実験区を設置し、干ばつの「ある/なし」と刈り取りの「ある/なし」が、植生・蒸発散・土壌水分にどのような影響を及ぼすかを野外実験的に調べることで、「生態系の自己修復機能」の存否・働きについて究明することである。従来、物理気候学のモデル研究では、干ばつの発生に対して植生・土壌を含めた陸面過程が干ばつを加速させる(正のフィードバック)という考えが通説であったが、本研究はこれを生態気候学の立場から検討するものである。 2004年に、モンゴル高原の中央部に位置するバヤンオンジュルにおいて、周囲に家畜よけの柵をした大区画(300m×300m)を設置した。その柵内外を、自然植生区(NG区:柵内・自然植生)と家畜の採食を許す被採食区(G区:柵外・採食継続)とした。さらに、2005年には、そのなかに、以下の2つの中区画を設置した。それらは、5月下旬〜8月初めに降雨遮断のポリエチレン屋根を取り付けた人工干ばつ区(D区:柵内・自然植生・降雨遮断)、植物成長期に一ヶ月に一度刈り取りを行う刈り取り区(M区:柵内・刈り取り)である。 干ばつ実験直後(2005年8月)には、D区において地上部バイオマス、土壌水分などに顕著な減少が認められたが、地下部バイオマスにはみられなかった。2006年8月には、D区の地上部バイオマスの急速な回復がみられたが、種組成、表層土壌の物理的・化学的特性には認められず、干ばつの影響が複数年にわたることが示された。 これらの成果の一部は、日本気象学会英文誌Journal of Meteorological Society of Japanに掲載された他、国際地理学連合(オーストラリア、ブリスベーン)において発表した。
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Research Products
(6 results)