2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16405008
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浅見 崇比呂 信州大学, 理学部, 助教授 (10222598)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 仁 静岡大学, 工学部, 教授 (10291957)
青塚 正志 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (40106604)
遠藤 一佳 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (80251411)
上島 励 東京大学, 理学系研究科, 助教授 (20241771)
|
Keywords | 左右 / 分子系統 / 巻貝 / タイ / 共存 |
Research Abstract |
内臓の形や配置は、多くの動物で左右対称ではない。昆虫や二枚貝でも腸管の曲がり方は左右対称ではない。この内臓にみる左右は、発生初期の左右(一次左右性)に対応している。一次左右性が反転した鏡像体は、なぜか動物界で一般に進化していない。対照的に巻貝では、一次左右性が反転した鏡像体の種がくり返し進化した。だが、鏡像と実像の二型が普通にみつかる集団は、巻貝でもまれである。左巻と右巻は交尾が難しいため、少数派の巻型が淘汰されるからと考えられる。左巻と右巻が同一種に普通にみつかるグループでは、多くの種が近年絶滅、または絶滅に瀕している。一方、東南アジアのAmphidromus属では、集団の動態解析が可能な状態で、左右二型種が現存している。これまでに、左右二型種のすべての集団で二型が共存するが、頻度は時空的に安定には維持されていないことがわかった。分子系統解析の結果は、左右二型が、単系統の本属の祖先形質であることを示している。本結果は、一次左右性の実像型と鏡像型が同一集団に共存し、かつ放散進化の歴史を通して存続することを実証する動物界で初めての例である。交尾行動の観察・実験結果は、二型間の交尾が難しくないことを示唆する。だが、相互に選択的に交尾しないかぎり、二型間の交尾だけで左右二型を維持することはできない。本研究により、左右二型の維持機構を解明することが、今後の大きな課題として浮き彫りになった。
|
Research Products
(2 results)