2007 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア熱帯林冠相における社会性昆虫を中心とした生物間相互作用に関する研究
Project/Area Number |
16405009
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹松 葉子 Yamaguchi University, 農学部, 准教授 (30335773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 亮平 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00111948)
乾 陽子 大阪教育大学, 教育学部, 助教 (10343261)
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Keywords | 社会性昆虫 / 生物間相互作用 / シロアリ / アリ / ゴキブリ |
Research Abstract |
本年度は、マレーシアランビルヒルズ国立公園における調査を3つの観点からおこなった。 (1)シロアリの多様性 林冠相に生息するシロアリの多様性とその生息場所を明らかにするために、樹冠観測用クレーンを用いて、半径75mの円周内にある樹木の樹冠部の着生植物、巣、枯死枝、空中土壌、樹幹の蟻道をすべて調査し、生息するシロアリ相を調べた。その結果、55本から数種のシロアリを確認した。Hospitalitermes2種で営巣が確認された。また、着生植物の着生部分にある空中土壌内に土壌性のシロアリが生息していた。 (2)コウグンシロアリの防衛及び同巣認識機構 コウグンシロアリH.laviricepsにおける「囲い込みフェロモン」を利用した行軍形成過程の観察を行った。さらに、この行動を引き起こしている原因を生物検定により確認した。兵蟻頭部には職蟻を忌避させる揮発性の高い情報化学物質が存在し、それを常に放出することにより職蟻を囲い込んで保護し、全ての採餌個体を無事に巣まで連れ帰る機能を担っている可能性が高いことが分かった。 (3)アリとゴキブリ、着生植物の相互作用 植物と共生するアリ類について、炭化水素組成のパタンは分子系統によって異なることを確認した上で、類似度の比較を行った。共生相手に特殊化した例では近縁系統間でも炭化水素組成が著しく異なり、一方、共生強度が低い例では遠縁系統間で炭化水素組成が似ていた。さらに、単純な組成を有する林冠の植物アリは、コロニー識別が厳密ではないことが行動実験で確認された。つまり、炭化水素組成は、植物との共生強度に深く関与すると考えられる。
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