2006 Fiscal Year Annual Research Report
シベリア・タイガにおける森林構造発達と窒素動態様式の相互関係
Project/Area Number |
16405010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大澤 晃 京都大学, 農学研究科, 教授 (90288647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 卓也 森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (70353638)
松浦 陽次郎 森林総合研究所, 立地環境部, 主任研究員 (20353857)
徳地 直子 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教授 (60237071)
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Keywords | Larix gmelinii / ロシア / シベリア / 永久凍土 / 森林生態系 / 現存量 / 施肥 / 窒素動態 |
Research Abstract |
本年度は7月に約10日、9月に約3週間、3月に1週間ロシアを訪問し、野外調査準備および本調査を行った。調査対象となっている永久凍土上に成立したグメリンカラマツ林の永久調査区において、森林構造、現存量、炭素動態、窒素貯留量、窒素無機化速度などを推定すべく、いろいろなサンプル採集および測定を行っているが、今年度はこれらに加えて、窒素肥料散布がカラマツの林冠に及ぼしつつある影響について詳細な検討を開始した。特に、施肥処理が(1)長枝の長さに及ぼす影響、(2)長枝につく葉の枚数に及ぼす影響、(3)長枝につく芽の数に及ぼす影響、(4)一次枝あたりの当年枝数に及ぼす影響、(5)当年枝の中で長枝が占める割合への影響、を調べた。長枝の長さは窒素肥料の高濃度散布区でほかの処理区より50%ほど長くなった。長枝につく葉の枚数は、施肥処理間で差はなかった。長枝に着く芽の数は、高濃度散布区でやはり50%ほど数が多くなった。これらに対し、一次枝あたりの当年枝数は施肥処理間で差がなかった。当年枝の中での長枝出現率も施肥処理の違いによって有意な差は出なかった。したがって、高濃度の窒素肥料を散布している林分では、当年生長枝の長さが長くなり、長枝あたりの芽の数が増えた。芽のほとんどは翌年短枝になると考えられるので、来年は短枝につく葉量も増えるかもしれない。これらとともに、カラマツの林齢に従って変化する林内の光分布および林冠内での葉の3次元分布様式を推定した。施肥がこれらに及ぼす影響はまだ測定されなかったが、林分成立後の年数に従って林内光環境と葉の3次元分布様式が系統的に変化することを示すデータが得られた。永久凍土上に成立したカラマツ林の発達様式を特徴付けるパラメターのいくつかを明らかにすることができた。
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Research Products
(6 results)