2005 Fiscal Year Annual Research Report
トマト育種史の中での病原菌進化をフィールド分離株に探る
Project/Area Number |
16405021
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
有江 力 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (00211706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺岡 徹 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (60163903)
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 助教授 (00183343)
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Keywords | 植物病原菌 / 宿主植物 / 共進化 / トマト / 野生種 / 育種史 / Fusarium / Alternaria |
Research Abstract |
植物病原菌が「いつ・どこで宿主植物に対する病原性を獲得したか?」、また、「それ以降現在までどの様にして病原性を進化させてきたか?」という植物病理学における最大の疑問のひとつに答えるべく、本研究ではトマトをモデル植物に、トマト育種史と病原菌の出現・進化の関係を解析することを目的としている。平成16年度の調査の結果を踏まえ、平成17年度は7月および12月に、トマト一次育種の中心地であったことが推定されるメキシコ・ベラクルス地域を中心に、フィールド調査を行った。一次育種の中心地であるメキシコには、野生種が南米より移入されて以降、栽培トマトの原型となるまでの多様性に富むトマト属植物(野生種、移行期トマト、栽培トマト)が自生、又は栽培されており、当然これらより分離される菌の多様性も豊かであることが推定される。そこで、このような菌株の中に現在の病原菌の祖先により近いものが存在することが期待される。この地域から、自生するトマト属植物(野生種)および移行期トマト(メキシコ在来品種)の採集を試みた。採集は当初の期待と異なり、非常に困難であった。すなわち、欧米系トマト品種の導入や除草剤の使用拡大によって、目指す野生種および移行期トマトの自生および栽培が極端に減少していた。野生種・移行期トマト、そこに生息する微生物にとって危機的状況であり、遺伝資源として維持する必要が考えられた。平成16年度から延べ3回の採集旅行の結果、複数の野生種・移行期トマトを採集でき、これから糸状菌の分離を行い、約100菌株を得た。現在、種の同定、病原性、系統の解析を行っている。
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Research Products
(3 results)