2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本への農産物輸出による熱帯アジアの耕地土壌劣化の実態調査
Project/Area Number |
16405024
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
間藤 徹 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50157393)
|
Keywords | 環境質定量化・予測 / 環境調和型農林水産 / 国際協力 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 土壌学 |
Research Abstract |
日本に輸出するための農作物を生産することによる環境へのストレスを評価するための調査を行った。 海外の農業生産者にとって日本の市場に向けて生産することは収入の増加になる場合が多いが、農作物に対する要求も高い。 ここで取り上げたアスパラガス生産では熱帯という気候条件を生かして周年栽培が可能だが、同時に灌漑、施肥も周年行う必要がある。このため化学肥料の投入量に対する肥料成分の収穫物への回収率はきわめて低く、吸収されない肥料成分は環境中に残留していると推定された。そこで土壌をボーリングし深度別に肥料成分を分析したところ、リンは地表から20cmの間に、計算された投与量のほとんどが回収された。 一方窒素は地下1mまでのあいだにほぼ均一に硝酸イオンの形で分布していた。施肥され作物に吸収利用されなかった窒素は硝酸イオンの形で下層に移行していると推定された。このため地下水の硝酸イオン濃度を村内の井戸16本で測定したところ、多くの井戸で飲用水の硝酸イオン濃度の規制値である50mg/Lを超えていた。 この結果は施肥された大量の窒素肥料のうち作物に吸収されなかった分は硝酸イオンに変化し、地下水を汚染していることを示している。この地下水は積極的に汲み上げて栽培に利用し、化学肥料窒素の施肥量を低減するのがよい。また、リンは地表に高濃度に集積していた。まだ作物の生育には影響していないようだが、一部の圃場で気温が低い時期にマグネシウム欠乏によると思われる葉身の白化症状が見られた。これはリンの過剰に誘導されるマグネシウム欠乏と思われる。マグネシウム単味肥料の施肥を勧めている。 また、地下水の硝酸イオン濃度は今後も経時的にモニターするべきだと現地の研究機関に助言した。
|
Research Products
(1 results)