2006 Fiscal Year Annual Research Report
漁村の多面的機能とEcosystem Based Co-Management
Project/Area Number |
16405028
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山尾 政博 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授 (70201829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 作 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (90288499)
島 秀典 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (00253914)
家中 茂 鳥取大学, 地域学部, 助教授 (50341673)
山下 東子 明海大学, 経済学部, 教授 (50275822)
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (90336701)
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Keywords | 多面的機能 / エコシステム / Co-management型 / 食料資源 / 持続的利用 / 技術協力 / 政策提案 / 国際・地域貢献 |
Research Abstract |
最終年度にあたる本年は,第1に,東南アジアにおける沿岸域資源の持続的利用を実現しようとする動きを,漁村の諸活動と関連づけてタイとフィリピンで調査を実施した。タイでは定点調査地のクラビ県とパンガー県に加え,資源管理プロジェクトを実施しているチュンポン県の事例を検討した。漁村住民による生産・生活共同のなかに「秩序ある資源利用」が組み込まれていた。フィリピンのパナイ島バナテ湾域では,community-based(CB)型資源管理が新たな発展をみている。Co-management(CM)型組織が沿岸域のエコシステムに対応しつつ,社会経済的環境に適応した組織になっている。住民参加型資源管理が広まった東南アジアでは,CMは地方分権化に対応した制度として認知されている。 第2は,東南アジアに地理的に近く水産業・漁村の成り立ちに共通性がある日本の沖縄に焦点をあて,漁村社会を多面的視覚から分析した。沖縄漁村がもつ多面的機能は,水産業がもつ生産者的視点と,食料資源として沿岸水産資源を消費する生活者的視点が融合し合い,それらが地域内で持続的に機能する物質循環をつくりだしている。こうした研究視点は,東南アジア漁村社会がもつ沿岸水産資源利用の多面性分析に広く応用できることが明らかとなった。 本研究は以下のような内容で国際貢献及び地域貢献を果たした。タイでの研究は住民参加型・地方分権化の資源管理組織を実現していく政策的道筋として提案できた。フィリピンでの研究は,調査地域におけるわが国の技術協力プロジェクト(国際協力機構)の形成に寄与した。沖縄での研究は,漁村・水産業の多面性を軸に地域振興をいかに図るかをテーマにした地域シンポジウム(沖縄県庁との共同開催)として結実した。漁村多面的機能の増進活動が,アジア海域社会にとって有効な地域戦略であることを明らかにできた。
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Research Products
(18 results)