2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本に侵入する危険性の高い北米産ウイルス性人獣共通感染症の疫学的研究
Project/Area Number |
16405034
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
苅和 宏明 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助教授 (70224714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 郁夫 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (30002083)
有川 二郎 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授 (10142704)
吉松 組子 北海道大学, 大学院医学研究科, 助手 (90220722)
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Keywords | ウエストナイル熱 / フラビウイルス感染症 / ハンタウイルス感染症 / 疫学 / 鳥類 / げっ歯類 |
Research Abstract |
本研究では、近年国内外で問題になっているウイルス性人獣共通感染症のうち、侵入または流行の危険性があり、重篤に経過し致死率が高いウエストナイル熱とハンタウイルス感染症について、新たに疫学調査を実施して以下の成果を得た。 1)野生鳥類におけるウエストナイル熱の疫学調査:1999年の米国ニューヨーク州でのウエストナイル熱の出現以来、北米大陸ではウエストナイルウイルスの感染拡大が続いており、カナダやメキシコへの感染拡大が危惧されている。そこで、平成18年5月にメキシコのGuerrero州において各種鳥類を捕獲し、ウエストナイルウイルスの感染状況を調査した。捕獲した鳥類94例の腎臓からRNAを抽出し、RT-PCRによりウイルス遺伝子の有無を検査した。その結果いずれの検体からもウイルス遺伝子は検出されなかった。したがって、今回の調査を行ったGuerrero州では調査時点でウイルスの流行していた可能性は低いと考えられた。 2)げっ歯類におけるハンタウイルス感染症の疫学調査:米国やカナダなどの北米大陸ではげっ歯類媒介性のハンタウイルス肺症候群(HPS)が流行しているが、メキシコではハンタウイルスの疫学調査が実施されていないため、ウイルスの存在やHPSの流行状況はほとんど明らかにされていない。そこで平成18年5月にメキシコのGuererro州とMorelos州でげっ歯類の疫学調査を行い、げっ歯類におけるハンタウイルス感染の有無を検討した。合計211例のげっ歯類が捕獲され、これらから血液や各種臓器を採材した。まず、血清中の抗ハンタウイルス抗体の検出をELISAによって行ったところ、28例が陽性を示した。これらのELISA陽性血清の多くがWestern blotでも陽性となった。したがってメキシコのげっ歯類にハンタウイルスの存在することが血清学的に強く示唆された。
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Research Products
(6 results)