2005 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯におけるヒトロタウイルスの生態解明と予防戦略への展開
Project/Area Number |
16406016
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中込 治 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70143047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中込 とよ子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (40155693)
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Keywords | 熱帯国 / ロタウイルス / 下痢症 / 症例の年齢分布 / 電気泳動 / 血清型 / ワクチン |
Research Abstract |
ロタウイルス下痢症の制圧を図る上でワクチンはもっとも有効な手段である。第2世代のロタウイルスワクチンの実用化を踏まえ,ロタウイルスの疾病負担と生態を明らかにしていくことが求められている。本研究はネパールにおけるロタウイルス感染症の発生状況を把握し,同地において優勢を占めるロタウイルス株の性状を明らかにすることである。そこでポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるelectropherotypingとRT-PCR法によるG and P genotypingを行った。2003年9月〜2004年8月までの1年間にカンティ小児病院(小児外来患者)とスクララージ感染症熱帯病病院(成人入院患者)における下痢症患者から得た1,315検体(小児患者928,成人患者387)を解析した。5歳未満の小児患者では16.5%に相当する116検体,5から15歳未満の小児患者では7%に相当する18検体,15歳以上の小児および成人患者では5%に相当する19検体がELISA法により,ロタウイルス陽性であった。約76%のロタウイルス下痢症が5歳未満の小児患者に起こったものであった。どの年齢層でも約70%がG1P[8]であった。約20%がG non-typeableであり,そのP血清型はP[8]またはP[6]であった。ELISA陽性であった174検体のうち57検体でゲノムRNAのパターンを決定することができ,これらは19の異なるウイルス株に分類することができた。E3,E7,E9と命名した3株が全体の58%を占め,優勢であった。これらはいずれもG1P[8]血清型であったが,その分布は5歳未満のグループと5歳以上のグループとの間で,ウイルス株ごとに異なり,血清型だけでは説明できないものであった。このようにウイルス株を詳細に解析する必要がある。
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