2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯におけるヒトロタウイルスの生態解明と予防戦略への展開
Project/Area Number |
16406016
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中込 治 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70143047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中込 とよ子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40155693)
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Keywords | ロタウイルス / 血清型 / 遺伝子型 / ワクチン / 熱帯国 / 下痢症 / G12 |
Research Abstract |
ロタウイルス下痢症により重症下痢症の予防のため、現在2つの弱毒生ワクチンが開発され世界規模での導入が始まっている。ロタウイルスの中和抗原である表面タンパクにはVP7とVP7との2つがあり、それぞれ、G型(G血清型/G遺伝子型)およびP型(P血清型/P遺伝子型)として定義されている。ロタウイルスワクチンの導入に際し、野外で流行しているウイルス株のG型およびP型を把握することは不可欠である。途上国でのロタウイルス流行株の特徴、とくに新興株の出現の有無を知ることは、世界規模でのワクチン戦略を考える上で非常に重要である。この観点から、本研究で明らかにしてきた、ネパールの小児における新興株G12ロタウイルスの流行は注目に値するものであった。そこで、G12型を塩基配列決定によらず、RT-PCR法で型別できるようにするため、G12ウイルス株のVP7遺伝子をもとに、他の血清型(遺伝子型)のウイルスと交差反応を示さないプライマーの設計を試みた。G1〜G14の遺伝子型に属する標準株を用いて、RT-PCRを繰り返し、G12特異的プライマーの作成に成功した。ネパールの首都カトマンズの小児病院で2004年8月から2005年7月までの1年間に小児重症下痢症検体731例から検出したロタウイルス陽性検体は23%に相当する170検体であった。このうち23%に相当する39検体が新興株であるG12型ロタウイルスであった。最も高頻度に検出された株は昨年度のGIP[8]からG2P[4](32.9%)に変化した。このような遺伝子型変遷のなかにあってもG12型ロタウイルスが2年連続で20%以上を占めていたこと、これらの株の電気泳動型が多様性に富んでいることから、ネパールにおけるG12型の出現は一過性のものではないと判断された。ネパールでのG12ウイルス株の継続した監視が必要である。
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Research Products
(3 results)