2005 Fiscal Year Annual Research Report
将来の計算機構としての可逆コンピューティングの研究
Project/Area Number |
16500012
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森田 憲一 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00093469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 勝喜 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20253106)
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Keywords | 可逆計算機構 / 可逆論理 / 論理素子 / 計算万能性 / 可逆セルオートマトン / 非同期論理回路 / サイクリックタグシステム |
Research Abstract |
可逆コンピューティングは、量子コンピューティング等と共に将来の計算機の可能性を探るための計算モデルとして非常に重要である。本研究ではそのような観点から可逆計算機構の理論的研究を行い、本年度は計算万能な1次元可逆セルオートマトンの単純化と、非同期回路による同期可逆セルオートマトンの実装法を研究した。具体的な成果は次の通りである。 1.計算万能で単純な1次元可逆セルオートマトン 1次元可逆セルオートマトンが計算万能性(任意のチューリング機械をシミュレートできる性質)を有することは従来から知られていたが、これまでの方法で計算万能な可逆セルオートマトンを構成すると、各セルの状態数が非常に大きくなる。本研究では、既に計算万能性が示されているサイクリックタグシステムをシミュレートすることにより、無限状相の場合は36状態、有限状相の場合は98状態と、非常に少ない状態数の万能可逆セルオートマトンが構成できることを証明した。 2.非同期論理素子による同期可逆セルオートマトンの構成法 通常のセルオートマトンは、一般には無限個のセルが同期的に状態を遷移させるような計算モデルであり、理論的にはエレガントであるが、実装の際には困難が伴う。本研究では、可逆論理素子であるロータリー素子と非可逆な素子である保存的ジョインを用いた非同期回路によって同期可逆セルオートマトンが簡潔に実装できることを示した。 これらの結果を元に、次年度は計算万能性を有する可逆システムの単純化と実装可能性の研究をさらに進める。
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Research Products
(2 results)