Research Abstract |
本研究では,論理LSIにおいて,異なるモデルで表現される複数のタイプの欠陥をテストするため,縮退故障のN回検出テストによる新しいテスト生成手法及び故障診断手法について研究を行った.平成16年度は,まず,縮退故障検出用に生成されたテストパターンのブリッジ故障検出に対する有効性について,N回検出テストのテストパターン数とブリッジ故障検出率の関係を実験的に究明した.テスト圧縮は1回検出テストのブリッジ故障検出能力を高めるために有効であるが,圧縮を強力に行うと,テストパターン数削減の弊害により,ブリッジ故障検出率が低下することを確かめた.また,N回検出テストのテスト生成手法として,与えられた縮退故障のN回検出テストパターンをブリッジ故障検出能力の高いテストパターンに変更する手法を開発した.その手法では,与えられたパターンに含まれるドントケアビットを識別し,ドントケアビットにブリッジ故障を検出する値を割り当てる手順を用いた.N回検出テストパターンは,ブリッジ故障検出に有用であるが,開発した手法により,その効果をより高めることに成功した. さらに,故障がある回路の故障位置指摘手法として,X故障モデルを用いたper-test故障診断手法を開発した.X故障モデルは,縮退故障のみならず,ブリッジ故障やオープン故障など,複雑な論理動作を生じる欠陥を包括しており,汎用的な故障モデルである.本研究では,複数の不定値を扱うために,X挿入,X伝搬,X分解といった処理を伴う故障シミュレーション手法を開発し,その故障シミュレータをもとに,様々な故障モデルに対しても正確な診断が可能な故障診断法を確立した.提案手法は,故障シミュレーションの計算時間が多大なため,その削減法が今後の課題としてあげられる.
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