2005 Fiscal Year Annual Research Report
相転移現象を利用した離散・連続混在型情報圧縮アルゴリズムの研究
Project/Area Number |
16500093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 真人 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90233345)
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Keywords | 脳 / 神経 / 学習 / 自己組織化 / ヘブ学習 / 孤立局在興奮 |
Research Abstract |
今年度は,自己組織化マップ形跡不可欠な孤立局在興奮の形成メカニズムを統計力学的手法であるレプリカ法で解析した.これまでの研究では孤立局在興奮を形成させるために,ニューロン間の相互作用として,近傍で興奮性相互作用を持ち,遠方では抑制性相互作用をもつメキシカンハット(Mexican Hat)型相互作用を議論していた.しかしながら実際の神経系では,相互作用にランダムなノイズ成分が混入することは避けられない.そこでMH型相互作用とスピングラス型のランダム相互作用が混在するIsingスピン系をレプリカ対称性を仮定し,熱力学的極限において解析解を導出することに成功した.この解析解を用いて,強磁性相,孤立局在興奮相,スピングラス相などの相図を作成した.その結果,強磁性と孤立局在興奮の二つが共存する相を発見した.つぎにレプリカ対称性が破れるAT線を求めた.孤立局在興奮は中立安定性を持つため,外乱等により孤立局在興奮がランダムウォークするが,レプリカ対象性が破れると中立安定が破れ,孤立局在興奮がピン止めされることを発見した。 つぎにニューロンのモデルをIsingスピンから,ニューロンのスパイキング機構を取り入れたリーク有りの積分発火型(Leaky Integrate-and-Fire)ニューロンに置き換えたモデルの統計力学を構築した.膜電位をオーダーパラメータで記述することにより,LIFニューロンの膜電位の分布関数をFokker-Plank方程式で記述することに成功した.この系においても,強磁性と孤立局在興奮の二つが共存する相を発見した.
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Research Products
(6 results)