2007 Fiscal Year Annual Research Report
相転移現象を利用した離散・連続混在型情報圧縮アルゴリズムの研究
Project/Area Number |
16500093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 真人 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90233345)
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Keywords | 情報表現 / 情報圧縮 / 自己組織化 / 孤立局在興奮 / 学習 |
Research Abstract |
連想記憶やメキシカンハット型相互作用を初期状態とし,ニューロン間相互作用に学習を導入し,どのようなニューロン間相互作用が獲得されるかを取り扱った.そのためパーシャルアニーリング(PA)という手法を導入した.PAでは,ダブルダイナミクスとよばれるニューロンのダイナミクスと相互作用のダイナミクスの二つのダイナミクスを取り扱う.一般に相互作用の変化の時定数は,ニューロンのそれより十分大きい.そこで,その時定数の比を無限大と仮定する断熱近似を導入する.その結果,相互作用はニューロンの挙動の時間平均に依存する.一方,ニューロンが平衡状態に達するまでは,相互作用は変化しないとおくことができる.これらの性質から,この系を統計力学的手法であるレプリカ法を用いて解析した.より具体的には以下のテーマについて研究した. 1.従来のPA理論の改良 従来のレプリカ法ではレプリカ数に対応するnをn→0の極限をとる.一方,これまではPAではレプリカ数はダブルダイナミクスを構成する二つの系の温度の比になっているとされていた.しかし,これは専攻研究の定式化の不備であり,レプリカ数は学習係数εと温度の比で決まることがわかった.それに従いPA理論を再定式化した.PA法でεを0とおくと,従来のレプリカ法がどうしゅつされる.これらの知見より,従来のレプリカ法とPAとの対応があきらかになった. 2.連想記憶およびメキシカンハット系への適用 PAが多重安定状態をもつ系にどのような影響を与えるかを議論するために,連想記憶およびメキシカンハット系をとりあげた.その結果,PAを導入することにより,二次相転移が一次相転移に変化することがわかった.さらに,PAはすべてのアトラクターを安定化させるように働くことがわかった.
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Research Products
(6 results)