Research Abstract |
本研究の目的は,多入力非線形のデータから,明示性の高いモデルを構築する手法の確立にある.本研究の2年目である平成17年度においては,(1)可視化結果の明示性に基づいたクラスタリング手法,および,(2)個性に基づいた感性データのクラスタリング手法と可視化手法を開発した. 1.可視化結果の明示性に基づいたクラスタリング手法 多次元データの低次元化射影による可視化クラスタの分離性を元の次元におけるクラスタリングの基準とするクラスタリング法を開発した.これは可視化結果における明示性をクラスタリングの基準とする新しいクラスタリング手法である.ベンチマーク問題であるUCIデータベースのアヤメの問題とワインの問題に適用し,可視化結果からアヤメとワインの判別軸とその意味を把握できる結果を得た. 2.個性に基づいたクラスタリング手法と可視化手法の開発 本研究では多次元非線形データの可視化手法として,感性データに含まれている個性の可視化手法の開発を進め,以下の結果を得た. A.個性に基づくクラスタリング手法 本研究では,印象語の個性,尺度の個性,類似関係の個性に着目し,これらの個性を定義し,それぞれの個性を基準として定式化し,これらの基準の下に多次元感性データをクラスタリングする手法を開発した.これらは,印象語の個性及び尺度の個性を基に感性データを分類する手法,および類似関係の個性を基にプロクラステスクラスタリングする手法に分けられる.それぞれ,SD評価による評点データに適用し,個性を基にしたクラスタリングができ,従来法にない被験者のサブグループを見いだすことができることを示した. B.クラスタリング結果の可視化による個性の分析法 クラスタリング結果を低次元化射影し,可視化することで個性の分析を容易にすることを目的として,感性データ間の相関を利用した多次元尺度構成法を開発した.この手法は,個々人での印象語の捉え方の相違を可視空間に呈示することで,同じ印象語が人により異なる意味となる場合,異なる印象語が人によっては同じ意味となる場合など,印象語の個性を詳細に分析することを可能とする.SD評価による評点データに適用し,従来法にない印象語の個性の呈示が可能であることを示した.
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