2005 Fiscal Year Annual Research Report
潜在的機能発現をめざした非標準計算論に基づく創造的情報処理システムの研究
Project/Area Number |
16500135
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
松井 伸之 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10173783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
礒川 悌次郎 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70336832)
西村 治彦 兵庫県立大学, 大学院・応用情報科学研究科, 教授 (40218201)
FERDINAND Peper 独立行政法人情報通信研究機構, 関西先端研究センター, 主任研究員 (40359097)
上浦 尚武 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80275312)
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Keywords | ニューラルネットワーク / SOM / セルオートマトン / 量子ビット / 四元数 / 強化学習 / 結合問題 / データマイニング |
Research Abstract |
平成17年度においては、昨年度からの研究を継続発展させて、1.潜在的機能発現をめざした非標準計算論手法の検討課題をさらに深めるとともに、これらの研究で得られた成果を国内外に広く発表し、これらを基盤として、2.認知現象記述におけるモデルの有効性の検討、及び3.創造的情報処理システムとしての応用をめざして研究を遂行してきた。その結果、主に以下に示す新たな研究成果を得ることができた。 まず、1及び2.に関しては、(1)多元数体系導入がもたらす性能向上効果の中に、潜在的機能発現の機構が潜んでいないかをさらに追求するとともに、システム応用も企てるために、量子ビットニューラルネットワークをアイリス識別問題やカラーナイトビジョンにおける色画像処理に適用し、実システムとしての性能を評価した。また四元数ニューラルネットワークの相互結合型の構築を試み、その特異な連想想起特性を見出すことができた。これらの成果の一部はIJCNN2006国際会議で発表予定であるが、それらの性能についての詳細は今後の検討課題である。(2)SOMに関しては、ブロック学習SOMを提案し、従来型では困難であった追加学習を簡単に実現し得る成果を得るとともに、医療情報支援システムなどへの適用をも検討した。(3)認知現象における機構解明の難題の一つである結合問題に、結合振動子の引き込み効果を考慮したニューラルネットワークを構築して適用し、そのモデルの有効性を示すことができた。(4)強化学習におけるカオス導入がもたらす学習効果や強化学習スキームによる群行動の創発からも引き続き潜在的機能発現を検討したが、モデルの結果の有効性を示すことができた。(5)非同期セルオートマトン(ACA)上で故障箇所の自律的認識と不活性化及び複製機能や障害物回避などの形成が可能な局所的規則を見出しうるACAシステムを構築して、その中での潜在的機能発現とシステムの高信頼性、フォールトトレラントについて検討した。3.の応用に関しては、1及び2.の研究と並行させてその段階で得られた有用なモデルのシステム応用、例えば、カラーナイトビジョン、医療情報データマイニングを試みてきたが、実際的な実用に供するためのさらなる工夫が必要であり、来年度以降の課題である。また、理論形式の妥当性のより高次の観点からの証明、およびClifford代数など、数学的道具立ての検討は、今後さらに追求するべき課題となっている。しかしながら、研究発表成果リストに示したように、今年度の研究成果としては上記の研究成果を国内外に広く発表することができ、当初の研究計画は達成できたものと考えている。
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Research Products
(10 results)