2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者にやさしいテレビ映像・音声の提示条件に関する研究
Project/Area Number |
16500137
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
磯野 春雄 日本工業大学, 工学部, 教授 (60337516)
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Keywords | 高齢者 / 話速変換 / 内容理解度 / テレビ映像・音声 / 手話映像 / 不快感 / 光トポグラフィ / 脳血流 |
Research Abstract |
1.テレビ映像の可変速再生と内容理解度との関係 最近のテレビニュース音声は速すぎて聞き取りにくく、内容が分かりにくいという声が多い。今回、話速変換技術を用いてテレビニュースの話速とニュース内容の理解度に及ぼす影響およびニュース以外のコンテンツとして漫才の面白さに及ぼす影響について検討した。大学生50名を対象に話速が0,6倍速〜1.8倍速まで5段階にテレビニュースを話速変換し、内容理解度に及ぼす影響を一対比較法により測定した。その結果、最も内容理解度が高い再生速度は0.8倍速の5.82モーラ/秒であり、話速が速くなるにつれて内容理解度が低下することが明らかになった。一方、漫才の番組を話速変換して視聴すると漫才の面白さが再生速度によって変化し、再生速度が速すぎても、遅すぎても漫才の面白さが低下した。最も面白いと評価された再生速度は話速倍率1.4倍の14.6モーラ/秒であった。このように最適な再生速度はテレビ映像のコンテンツによって異なることが分かった。 2.テレビ映像・音声の可変速再生と不快感に関する検討 日本語およびイタリア語のテレビニュース音声を通常の話速(1.0倍速)と0.5倍速および1.5倍速に話速変換した3種類の音声を高齢者および大学生に聞かせた。このときの大脳皮質前頭葉における脳血流の変化を光トポグラフィ装置によって測定した。その結果、ニュース音声の話速によって脳血流が大きく変化する事実が判明した。高齢者、大学生ともに、話速が遅い0.5倍速条件では脳血流の酸化ヘモグロビン濃度が低下し、逆に1.5倍速の条件では上昇することが明らかになった。これは昨年度に実施したニュース音声の話速変化が高齢者や学生に与える心理効果をSD法と主成分分析した結果とも対応しており、0.5倍速では「安らぎ感」などのリラックス状態に対応し、1.5倍速では「騒がしさ」や「不快感」などのストレス状態に対応した脳血流の変化と考えられる。またイタリア語のニュース音声でも同様の実験を行った結果、ニュース内容が理解できていなくても話速変化によって日本語と同様の脳血流変化が認められた。
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Research Products
(2 results)