2005 Fiscal Year Annual Research Report
他者に関する暗黙的理解の発達と進化:暗黙的な「心の理論」の進化発達心理学的研究
Project/Area Number |
16500161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
板倉 昭二 京都大学, 文学研究科, 助教授 (50211735)
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Keywords | 心の理論 / 社会的随伴性 / コミュニケーション / アンドロイド / ロボット |
Research Abstract |
乳児における「心の理論」の萌芽的事象として、他者が自分のコミュニケーションの相手であり、主体的なエージェントであることを認識することである。今年度は、年少乳児における社会的随伴性を検討すること、また、人以外のエージェントに対して、乳児がどのような選好を見せるかを検討することを目的として、主に以下の2点についてデータを収集した。まず、1)ダブルビデオパラダイムを用いて、1ヶ月児の社会的随伴性に対する感受性の検討をおこなった。次に、2)12ヶ月児、18ヶ月児、24ヶ月児を対象として、予備的に、人、ヒューマノイド型ロボット、アンドロイドに対する注視時間を、選好注視法を用いて計測した。 1)では、テレビモニターを介した乳児と母親のコミュニケーション場面で、30秒の通常のやりとり(随伴条件)の後に、先行して記録した母親の映像を見せる非随伴条件(この場合、母親は通常のコミュニケーションを取っているが、乳児にとっては、自分の反応に随伴していない変な母親として映像に現れる)が30秒、そして最後に再び通常のコミュニケーション(随伴条件)に戻った。それぞれの条件で、乳児の注視反応および笑顔反応を測定した。分析は、それぞれの条件を前半部分と後半部とを分けて行なったところ、非随伴条件の後半部分で、乳児の注視時間が長かった。また、笑顔ついては特に変化はなかった。本研究の結果は、1ヶ月児でも社会的随伴性に対する感受性があること、また、期待違反が生じて、注視時間が長くなることがわかった。また、2)では、人、ヒューマノイド型ロボット、アンドロイドの静止画と動画をそれぞれ刺激として呈示した。まだ予備実験の段階であるが、おおよその結果は、以下のようであった。静止画の場合は、それぞれの刺激に対する注視時間は、それほど差はないが、動画の場合は、ヒューマノイド型ロボットに対する注視時間が、人およびアンドロイドに対するそれよりも長くなった。ヒューマノイド型ロボットは、比較的自由に動く手や目を持っており、人に類似しているが、やはりロボットの域をでない。しかしながら、アンドロイドは人に告示しており、「動き」というファクターが入ると、そのバイアスがロボットに対して出現したと考えられる。つまり、人や人に酷似したアンドロイドは動いてもおかしくないが、人ではないけれど、人に類似したものが動くのは、おかしいと感じるのかもしれない。
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Research Products
(5 results)