2006 Fiscal Year Annual Research Report
他者に関する暗黙的理解の発達と進化:暗黙的な「心の理論」の進化発達心理学的研究
Project/Area Number |
16500161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
板倉 昭二 京都大学, 文学研究科, 助教授 (50211735)
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Keywords | 社会的随伴性 / 注視時間 / 期待違反 / ウイリアムズ症候群 / 分配 / 公平感 |
Research Abstract |
今年度の実績は以下の通りである。申請書の計画にそって記述する。 1.乳児における社会的随伴性への感受性:ダブルビデオパラダイムを用いて、母子のインタラクションを3つのフェイズに分け、そのときの乳児の行動を記録した。最初は、通常のコミュニケーション、次に母親からの社会的な随伴性のないコミュニケーション、そして最後に再度通常のコミュニケーションに戻る、という場面において、1ヶ月児は、社会的随伴性がないフェイズの後半で、モニターに映った母親に対する注視時間が長くなった。このことは、期待違反による注視時間の増大であると考えられ、1ヶ月児でも社会的随伴性に感受性のあることが確認された。 2.ウイリアムズ症候群児の社会性の発達:ウイリアムズ症候群は、表面的には比較的言語の遅れが見られず、他者とも雄弁に会話することが特徴のひとつとしてあげられる。しかしながら、近年、その社会性の発達に障害があるのではないかとの知見が提出されている。本研究では、パズル達成場面を用いて、その達成感を他者と共有しようとする行動が見られるか否かを、健常児群と比較することによって検討した。その結果、健常児では、課題達成後、実験者の注意が向いていないときに、発話して注意を喚起しようとしたのに対し、ウイリアムズ症候群児は、健常児群に比して発話数が少ない傾向が見られた。 3.分配行動の発達:3歳〜5歳児を対象に、シールを用いた分配ゲームをおこない、他者と公平に分配しようとする行動の月齢変化を記録した。その結果、3歳児は、自分のほうに多く分配するのに対し、5歳児は、すでに置かれているシールの数に配慮しながら、比較的公平に分配する傾向のあることがわかった。これは、まだ予備的な段階であり、さらに条件を統制して実験的分析を行なう必要がある。 以上のように、比較的計画通りに研究を遂行できた。
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Research Products
(7 results)