2004 Fiscal Year Annual Research Report
決定論的最適性をもつベイズ的推定手法の導出とその応用に関する研究
Project/Area Number |
16500172
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保川 達也 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20195499)
|
Keywords | 階層ベイズモデル / 統計的決定理論 / ミニマクス性 / 許容性 / 母数制約 / 変量効果モデル / 共分散行列 / 経験ベイズ |
Research Abstract |
一般線形混合モデルにおいて誤差分散が既知の正規分布が仮定される場合に,階層ベイズ推定量のミニマクス性と許容性に関する条件を与え,ミニマクス性と許容性を与える事前分布の特徴付けを与えた。ミニマクス性についてはかなり複雑な計算を要したが,明確な条件を与えることに成功し,この分野の新たな理論展開がなされた。また,トロント大学のM.S.Srivastava教授との研究連絡を通して,線形回帰モデルにおいて説明変数の数が観測データ数よりもはるかに大きい場合の推定問題を考察し,経験ベイズ推定手法がこのような状況においても安定した推定を与えることを示した。 次に,平均や分散,さらに共分散行列の間に不等式制約が課されている状況下での推定問題を扱った。特に平均母数の空間が有界閉集合に制約されている場合について,ベイズ推定量が非制約推定量を改良するための条件を明らかにした。また分散が未知の場合への拡張を行い,ミニマクス性が母数制約の入れ方によって異なるという興味深い研究成果を導いた。 平均が未知のときの共分散行列の推定についても考察し,Stein-Haffの等式を用いた新たな証明方法を提案した上で,従来の結果をさらに一般的な推定量のクラスに拡張することが出来ることを示した。さらに,多変量の変量効果モデルにおける共分散成分の推定問題,すなわち共分散行列の間に不等式制約が埋め込まれているモデルへの応用がなされた。 この問題はAcademia SinicaのTsai教授との研究打ち合わせを通して実施された。
|