2007 Fiscal Year Annual Research Report
決定論的最適性をもつベイズ的推定手法の導出とその応用に関する研究
Project/Area Number |
16500172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保川 達也 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 教授 (20195499)
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Keywords | 経験ベイズ推定 / 線形混合モデル / 小地域推定 / 情報量規準 / 信頼区間 / F検定 / 高次元解析 / 判別分析 |
Research Abstract |
本年度の研究では,特に,次の問題において,画期的な研究成果を得ることができた。 1)小地域の推定における変数選択規準の導出,小地域平均の信頼区間の構成及び検定統計量の導出。 枝分かれ誤差回帰(NER)モデルは小地域推定のために利用される線形混合モデルであるが,変量効果が組み込まれているため誤差項が群内相関をもつことになり,従来の統計手法では適切な解析ができない状況が発生する。その顕著な問題が回帰係数の検定問題であり,標準的なF検定の第1種の過誤の確率(サイズ)が名目的な有意水準を大きく越えてしまうという欠点が生ずる。本研究では,一般化最小2乗法に基づいたF検定統計量を漸近的に補正する検定を導出し,サイズと検出(AIC)を導出し,従来のAICに比べて真のモデルを選択する頻度が高いことを数値的に示した。小地域平均の経験ベイズ信頼区間で,漸近的に信頼係数に一致するように補正したものを求め,京浜急行線沿いの土地公示価格に基づいた駅毎の平均的価格に推定と信頼区間を与えた。 2)高次元解析に有用な経験ベイズ判別法の導出とその理論的な意義付け。 母数空間の次元がデータ数よりはるかに大きいモデルにおける優れた判別分析法の導出はゲノム解析に分野において要求が高まっているが,本研究では,共分散行列の経験ベイズ推定量に基づいた判別分析法を与え,決定理論的な最適性を解析的に示すとともに,数値的にその良さを示した。
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