2006 Fiscal Year Annual Research Report
連続アトラクターを持つ神経回路力学系に基づく新規情報処理アルゴリズムの構築
Project/Area Number |
16500190
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
岡本 洋 独立行政法人理化学研究所, 脳回路機能理論研究チーム, 客員研究員 (00374067)
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Keywords | 連続アトラクター / ニューロン / 力学系 / 連想記憶 / 引用関係 / 人脈 / 脳型アルゴリズム / 漸次的持続活性 |
Research Abstract |
1.アルゴリズム基礎確立 連続アトラクター神経回路力学系に基づく提案アルゴリズムを安定に作動させるための条件を調べた。アルゴリズムの適用対象である個々の複雑ネットワーク(NW)に対して、その隣接行列から「遷移確率型」行列を生成し、後者をシナプス結合行列とするNWにおいて神経活性伝播を行わせることにより、NWの構造によらずに、安定に連続アトラクターが生成されるパラメータ設定が行えることを確認した。これにより、理論的には、任意の複雑NWから提案アルゴリズムを用いて関連情報を抽出することが可能となった。 2.アルゴリズム応用-関連情報抽出システムの構築- 昨年度に引き続き、提案アルゴリズムに基づいて、クエリーを通じて指定した研究トピックに関連する論文群を構造化して抽出し、さらにこれらを可視化するシステムの構築を進めた。対象は、神経科学に関する約10万本の論文の書誌データ(Science Citation Index Expanded, Thomson Scientific提供、加工使用許諾済)から生成された引用関係NWである。1.で述べた改良アルゴリズムを導入することにより、精度と適合度が向上した。さらに、官能評価を通じて、関連論文群がより適切に抽出できるようになったことを確認した。 本年度はさらに、提案アルゴリズムの別の複雑NWへの適用も試みた。研究代表者の本務先である富士ゼロックス(株)から出願された全特許から発明共著NW(人脈NW)を構成し、これに提案アルゴリズムを適用し、クエリーで指定した技術領域に関する組織活動が抽出できることを確認した。これは、私が直接には知り得ない他社における特定技術の研究開発に関する組織活動についても、提案アルゴリズムを用いることにより、公開情報(特許)を通じて抽出できるということを意味する。 本研究は「最新の神経科学の知見(漸次的持続活性に関する神経生理学的・計算論的知見)から、有用かつ実用的な情報処理アルゴリズムを導出する」ことを主たる目的として開始された。論文引用NWおよび発明共著NWに関する以上の成果から、この目的はほぼ達できたと判断する。
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Research Products
(1 results)