2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500193
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
林 謙介 上智大学, 理工学部, 教授 (50218567)
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Keywords | 神経細胞 / 細胞骨格 / 突起伸展 / 形態形成 / 神経発生 / 細胞極性 |
Research Abstract |
神経細胞が自律的に行う形態形成運動に軸索形成がある。軸索の持つ大きな特徴は微小管の向きである。微小管は、軸索ではほとんどがプラス端を軸索の先端に向けており(plus-end distal)、樹状突起ではplus-end distalとminus-end distalが半分ずつ存在する。その理由はよくわかっていない。これまでの研究により我々は、培養条件下で樹状突起が軸索に変換する現象を確立した。そこで、樹状突起が軸索に変換する時に微小管の向きも変化するかどうかを調べた。微小管の向きは、ホッキング反応を用いた電子顕微鏡的観察によって調べた。 まず、培養前の樹状突起内には向きの異なる微小管が混在していることを確認した。次に、樹状突起を24時間培養し、樹状突起の先端から軸索が伸長したものを選び、元の樹状突起の中央部分をホッキング法で調べた。すると、plus-end distalな微小管の比率が90%以上になっていた。このような微小管の極性変化は、樹状突起の先端から軸索が生じない場合には起こらなかった。従って、先端における軸索の発生が何らかのシグナルを発生し、minus-end distalな微小管が消失したと考えられる。minus-end distalな微小管が消失した理由として、アクチン繊維を足がかりとする微小管の移動が考えられたが、アクチン重合阻害剤存在下でも微小管の極性変化は起こったので否定された。 軸索において微小管の向きが揃っているのは、生長円錐に微小管のプラス端が集まって重合が盛んにおこることで軸索が伸長するためと考えられている。しかしこのような考え方では、今回の我々の結果は説明できない。我々の結果は新たに形成された軸索の部分ではなく、既存の樹状突起の中で微小管の向きが揃うことを示しているからである。今回の結果は、軸索内の微小管制御機構に全く新しいメカニズムを示唆するものである。
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Research Products
(3 results)