2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトのメタ記憶を司る大脳部位が果たす認知成分の機能的MRI法による同定
Project/Area Number |
16500195
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
桔梗 英幸 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (10342693)
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Keywords | feeling-of-knowing / メタ記憶 / neuroimaging |
Research Abstract |
Feeling-of-Knowing(FOK)とは自分の記憶していることに関する記憶で、メタ記憶のひとつであり、記憶想起の際のモニターの役割をはたしていると考えられている。本年度の目的は2つあった。一つはFOKと音の手がかり刺激との関連であり、そのために、想起すべき言葉に含まれている音を手がかり刺激として呈示することにより記憶想起がどのような影響を受けるかを調べた。その結果、左上側頭回に2カ所、音の手がかり刺激に対して強く反応する部位があり、そのうち一つは有効な音の手がかりの場合に特異的に働く部位であることが分かった。また、無効な音の手がかり刺激のときは左背外側前頭前野の活動が盛んになることを示した。これの結果は現在論文執筆中である。もうひとつの目的は、統合失調症とFOKの関連については調べることであったが、統合失調症患者の被験者としてのリクルートに難航している。そのため、記憶想起と音との関連について、正常被験者を用いてさらに調べた。その結果、右の海馬と左の背外側前頭前野が音楽のエピソード記憶の想起の成功に重要な役割を果たしていることが示された。そして、右と左の海馬では、機能的に分化していることをregion-of-interest解析により示した。また、想起できなくてもFOKの感覚があるときは楔前部の活動が見られた。この部位の活動は言語を対象としたFOKの研究でもFOKが強くある時に認められていることから、言語と音の両方に共通にFOKに関連のあることが示された。この研究成果は昨年日本神経科学会(京都)で発表し、論文として現在査読中であり、また、本年米国の神経科学学会(San Diego)で発表の予定である。
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Research Products
(2 results)