2005 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン細胞骨格調節によるシナプス伝達効率維持機構の解析
Project/Area Number |
16500209
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
深澤 有吾 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 助手 (60343745)
|
Keywords | アクチン細胞骨格 / 棘シナプス / 神経可塑性 / 長期記憶 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
神経伝達に直接関与する神経伝達物質受容体のシナプス上の数や局在はアクチン細胞骨格系の変化により調節されていると考えられるので、電子顕微鏡レベルでアクチン細胞骨格を可視化し解析できる実験系の立ち上げを2種類試みた。1つ目は生体内急速凍結技法により準備した凍結サンプルを通常の超薄切片で観察したが、脳内で良好な形態を保持した部位は見つけられなかった。同時に、通常行っている高圧急速凍結法を用いて準備した試料から、ディープエッチ法により細胞内構造を可視化する試みも開始したが、現在方法の最適化を行っている段階で結果判定まで時間を要する。今後はこのディープエッチ法による細胞内構造の可視化技術の向上を図り棘シナプス内アクチン細胞骨格の詳細な局在解析を行って行く。LTP誘導後の経時的なAMPA型グルタミン酸受容体(AMPA受容体)の数・局在変化については、検出感度や定量性に優れたSDS処理凍結割断レプリカ免疫標識法(SDS-FRL法)を脳組織に応用し電子顕微鏡レベルで解析した。その結果、CA1野錐体細胞や歯状回顆粒細胞の樹状突起上には膜内粒子の凝縮を伴う受容体クラスタが高密度に分布し、レプリカ膜上のシナプスの同定には従来用いられてきた膜内粒子の凝集のみでは不十分であり、NMDA受容体標識を必要とすることを明らかにし、このシナプス標識法を用いてLTP誘導後のAMPA受容体局在を解析した結果、誘導後45分の時点ではシナプス内AMPA受容体の密度増加が観察されたが、GluR1サブユニットのシナプスへの輸送はまだ起こっていないことを示唆する結果を得た。
|
Research Products
(3 results)