2005 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質第一次視覚野シナプス可塑性におけるセリンプロテアーゼの役割について
Project/Area Number |
16500211
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
俣賀 宣子 独立行政法人理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, 専門職研究員 (20209464)
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Keywords | 大脳皮質視覚野 / 形態変化 / 錐体細胞 / スパイン / シナプス前部 / 単眼遮蔽 / テトロドトキシン / グルタミン酸トランスポーター |
Research Abstract |
はじめにGene Gunを用いた蛍光色素の細胞内取込み法を用い、大脳皮質視覚野2/3層の興奮性神経細胞(錐体細胞)シナプス後部の形態を共焦点レーザー顕微鏡を用いて三次元的に調べた.昨年度、幼弱マウス(臨界期)の単眼を4日間遮蔽すると一過性にスパイン数が減少すること、その変化はグルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子欠失変異マウス(GAD65 KO)など機能的可塑性レベルが低下した動物では生じないことを報告した.本年度は、この形態変化が機能的可塑性を反映することを確実にするために、単眼遮蔽より機能的変化を強く引き起こすテトロドトキシン(TTX、ナトリウムチャネル阻害剤)を用い検討を続けた.その結果、短期単眼遮蔽ではスパインの剪定が起こらなかったGAD65 KOにおいて、4日間のTTX単眼投与によりスパイン数は有意に減少した.この形態変化は、機能的可塑性変化に匹敵した.そこで、スパインの剪定に見合う微細変化がシナプス前部においても誘導されるかどうかを調べるために、興奮性シナプス前部の機能マーカーとしてvesicular glutamate transporter(vGlut)を用いた検討を行なった(vGlut1は皮質内のから入力、vGlut2は外側膝状体からの入力部に発現).臨界期内マウスにおいて視覚入力を低下させたところ、神経活動に依存しその発現量が変化する転写因子egr-1は、視覚遮断(単眼遮蔽、TTX単眼投与)により視覚野両眼性領域すべての層において遮断側で低下した.一方、4日間の単眼遮蔽によりvGlut1は変化せず、vGlut2は4層付近でのみ低下傾向があった.また、TTXの単眼投与によって、vGlut1,vGlut2ともにegr-1同様すべての層において遮断側で低下した.これらの結果は、シナプス前部でも機能的可塑性に伴う微細な早期形態変化が起こる可能性を示唆している.
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Research Products
(2 results)