2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト海馬の形態的発達:高解像度磁気共鳴画像による横断的・縦断的研究
Project/Area Number |
16500215
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 道雄 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (40236013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 康弘 富山大学, 附属病院, 講師 (80242519)
高橋 努 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (60345577)
倉知 正佳 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80019603)
松井 三枝 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (70209485)
|
Keywords | 海馬 / 扁桃体 / 前頭前野 / 発達 / 磁気共鳴画像 / 体積計測 |
Research Abstract |
これまでの検討により、思春期健常者においては海馬の体積が増大すること、統合失調症圏障害患者においては海馬体積の減少が認められることが明らかになったが、今年度は海馬だけでなく、解剖学的・機能的に海馬との関連が深い扁桃体や前頭前野の、思春期における形態学的発達について検討した。 対象と方法:思春期前期(13〜14歳)の健常者23名(男性10名、女性13名;平均年齢13.4歳)と思春期後期(18〜20歳)の健常者30名(男性15名、女性15名;平均年齢19.7歳)を対象にした。1.5TのSiemens社製MRIスキャナ(Magnetom Vision)を用い、1mm^3のvoxelサイズからなる高解像度の三次元磁気共鳴画像を得た。関心領域法により扁桃体と前頭前野の体積を計測して比較した。また、思春期前期(13〜14歳)の健常者のうち13名(男性3名、女性10名)については、2年後にMRI撮像を行い、海馬、扁桃体、前頭前野の体積の縦断的変化を検討した。 結果:思春期前期と思春期後期の横断的比較では、男子において、扁桃体体積の増大が認められた。また前頭前野では灰白質体積が減少し、白質体積が増大していた。縦断的比較では、右の海馬、両側の扁桃体では体積が増大する傾向、前頭前野では灰白質が減少する傾向が認められた。 考察:健常者の海馬だけでなく扁桃体においても、思春期に脳形態の発達的変化が持続していることが示唆された。前頭前野における灰白質減少、白質増大の所見は、小児期から思春期において、灰白質ではシナプスのpruning、白質では髄鞘化が進行することに一致している。縦断的検討で有意差に至らなかったのは、例数の少なさおよび女性が大半であったことによると考えられる。思春期における脳形態の発達・成熟的変化と、認知機能の発達との関連を検討していくことが重要と考えられる。
|
Research Products
(4 results)