2005 Fiscal Year Annual Research Report
器質的および機能的胃腸症に見られる胃の知覚過敏のメカニズムの解析
Project/Area Number |
16500216
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾崎 紀之 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40244371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 康夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 理事 (50093042)
篠田 雅路 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助手 (20362238)
|
Keywords | 内臓痛 / 機能性胃腸症 / 痛覚過敏 / 過敏性腸症候群 / 母子分離ストレス / 痛覚鈍磨 / 急性ストレス / 胃 |
Research Abstract |
【目的】痛みや不快感など上部消化器管に起因する症状は上腹部不定愁訴といわれ、癌や炎症など原因となる病変があきらかである器質的胃腸症と、器質的病変が明らかでない機能性胃腸症(functional dyspepsia)に分けられる。上腹部不定愁訴には胃の痛覚過敏が関与していると考えられる。機能性胃腸症のメカニズムを明らかにするため、本年度は結腸に痛覚過敏をもたらし、過敏性腸症候群のモデルとして提唱されている母子分離ストレス(maternal separation)が胃の痛覚に及ぼす影響を調べた。 【材料と方法】Long Evansラットの新生仔に、生後2日目から14日目まで毎日3時間母親から離す母子分離ストレス(maternal separation)を与えた。上記の操作を行わず飼育したものを対照群とした。生後6週目に胃にバルーンを留置し、僧帽筋、外腹斜筋に筋電図測定用の電極を備え付けた。内臓痛の評価のため、胃や結腸をバルーン伸展し、動物の反応を筋電図の変化として記録した。体性痛の評価のため、足底部の皮膚痛覚をHangreaveテスト(熱刺激)、von freyテスト(機械刺激)によって調べた。またwater avoidanceストレスを加えたときの胃の痛覚の変化も調べた。 【結果】結腸の痛覚は母子分離ストレスを受けた動物では、従来の報告と同様に亢進する傾向が見られたが、胃の痛覚は逆に抑制された。皮膚の痛覚に、母子分離ストレスは影響しなかった。またwater avoidanceストレスを加えても胃の痛覚に変化は見られなかった。 【結論】母子分離ストレスを受けた動物は胃の痛覚が抑制されていることがわかった。母子分離ストレスは従来の報告でも、また我々の結果でも結腸の痛覚を亢進する傾向を示しているので、ストレスが内臓痛に及ぼす影響は臓器によって異なることが明らかになった。
|
Research Products
(10 results)