2005 Fiscal Year Annual Research Report
中枢レプチン・メラノコルチン系によるエネルギー代謝調節機構の機能形態学的解析
Project/Area Number |
16500220
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
岸 敏郎 島根大学, 医学部, 助教授 (80214766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 幸彦 島根大学, 医学部, 教授 (30174501)
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Keywords | leptin / melanocortin / hypothalamus / feeding / energy homeostasis / autonomic nervous system / diabetes mellitus / obesity |
Research Abstract |
前年度にひき続き、loxTB/MC4-Rマウスを用い、MC4-R陽性PVH細胞のエネルギー平衡調節への関与について、さらに詳しく解析した。 Cre/loxP組換えによりMC4-RをloxTB/MC4-Rマウスに再発現させる実験では、PVH内におけるCre免疫陽性細胞の分布様式が均一ではなく、したがってMC4-R mRNAの発現様式も一様ではなかった。よって、このような不均一性をもとに解析した所見は傍証の一つに過ぎない。 そこで、single-minded 1(Sim1)遺伝子発現調節領域の支配下にCreを発現するSim1-Creマウスを作製した。Sim1遺伝子はPVHに広汎に発現し、この神経核の形成に必須であることが知られている。Sim1-CreマウスとloxTB/MC4-Rマウスの交配によって得られたマウスのPVHにて、均一なMC4-R mRNAの分布をin situ hybridizationにより確認した。そして、このloxTB/MC4-R Sim1-Creマウスでは、体重増加が抑制された。また、loxTB/MC4-R Sim1-Creマウスでは、Sim1遺伝子の発現領域から予測されたように、扁桃体内側核にもMC4-R mRNAの再発現がみられた。 MC4-R遺伝子は、当初、中枢神経系にのみ発現すると言われていたが、最近末梢組織にてもその発現が確かめられた。そこで、loxTB/MC4-Rマウスにて神経細胞に選択的にMC4-Rを再発現させるため、Sim1-Creと同様のコンストラクトにて作製されたNestin-Creマウス(Jackson Laboratories #003771)とloxTB/MC4-Rマウスを交配させた。その結果、やはり体重増加が抑制された。 さらに、loxTB/MC4-Rマウスの病的体重増加が過剰なエネルギー摂取によるものか、消費の低下、あるいは両者によるものかを解析した。loxTB/MC4-Rマウスは野生型マウスに比して明らかな過食を示したが、loxTB/MC4-R Sim1-Creマウスに過食はみられなかった。一方、両者は野生型とほぼ同様の酸素消費率を示した。 以上から、PVHに発現するMC4-Rは、エネルギー消費の促進ではなく、摂食行動を抑制することをもって、エネルギー平衡の維持に関わると考えられた。また、loxTB/MC4-R Sim1-Creマウスにみられた所見から、扁桃体内側核に発現するMC4-Rも同様の機能を担うことが示唆された。本年度は、これらの知見をまとめCell誌に投稿し、受理された。 この研究に関連して、中枢メラノコルチン系とセロトニン系の機能連関をまとめた総説をPeptidesに掲載した。
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Research Products
(2 results)