2004 Fiscal Year Annual Research Report
Argyrophilic Grain Dementiaの神経病理学的研究
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16500230
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
吉田 眞理 愛知医科大学, 加齢医科学研究所, 助教授 (60288545)
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Keywords | タウオパチー / argyrophilic grain / pretangle / coiled body / 非アルツハイマー型痴呆 / 辺縁系 |
Research Abstract |
平成16年度は、愛知医科大学加齢医科学研究所に蓄積された2900例のヒト剖検脳から、知的機能障害の記載されていない91例におけるargyrophilic grain(AG)の出現を検索した。AGの出現は50歳〜59歳12名中0名、60歳〜69歳20名中1名、70歳〜79歳31名中4名、80歳〜89歳19名中6名、90歳〜99歳9名中3名に認められた。AGの出現は70歳以下ではまれであり、70歳以降に増加し、特に80歳以降では約30%に確認された。 さらに疾患対象としてALS110例(平均年齢65歳、32歳〜86歳)におけるAGの出現頻度を検索した。AGは60歳未満にはみられず、60〜69歳では14%、70〜79歳では43%、80歳以上では43%にみられ、加齢とともに増加傾向を示し、7例に臨床的に精神症状が記載されていた。 AGは、迂回回、内嗅領皮質、経内嗅領皮質、扁桃核、島葉などの辺縁系に出現し、AGの出現領域にはタウ陽性のpretangle、ballooned neuron、coiled bodyの出現を認めた。AGの出現分布様式は、認知障害や背景疾患の有無にかかわらず基本的には同一であった。精神神経症状を呈する症例では、側脳室下角の拡大、内嗅領皮質から経内嗅領皮質におけるneuropilの粗鬆化、神経細胞の脱落とグリオーシスなどの皮質の変性が明瞭にみられ、AGの分布が側頭葉内側面から側頭葉全体におよび、島葉、前頭葉下面に広がり、pretangelも側坐核、中隔核、Meynert核、視床下核、黒質、青斑核といった脳幹部まで広範囲にみられた。 正常ヒト脳におけるAGの出現頻度は加齢に伴って増加している傾向がみられるが、さらに症例を蓄積して検討する必要がある。
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Research Products
(6 results)