2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病脳におけるC1-ATPase活性低下機構の解明
Project/Area Number |
16500248
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
服部 尚樹 関西医科大学, 医学部, 助教授 (80288828)
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Keywords | アミロイドβ / Cl^--ATPase / アルツハイマー病 / リンパ球 / ホノキオール |
Research Abstract |
【目的】Cl^--ATPaseは神経細胞内Cl濃度を低く保ち、GABAなどによる抑制性神経伝達を可能にしている。我々はアルツハイマー病(AD)脳でCl^--ATPase活性が低下していること、低濃度アミロイドβ蛋白(Aβ)が培養ラット海馬神経細胞において、Cl^--ATPase活性を抑制し、神経細胞内Cl濃度を上昇させることを見いだした。本研究ではアルツハイマー病脳におけるCl^--ATPase活性低下機構を解明する。 1、リンパ球Cl^--ATPase活性に対するAβの作用【方法】健常人末梢血よりリンパ球、好中球、赤血球を分離後、ショ糖密度勾配法にて膜蛋白画分を得た。各血球のCl^--ATPase活性、Na-K-ATPase活性を、高感度測定法にて測定した。その後、10%FBSを含むRPMI1640にてリンパ球を24時間培養し、Aβ25-35(1μM)およびAβ1-42(100nM)の両ATPase活性に及ぼす効果を検討した。更に、これらAβの、リンパ球に対する細胞毒性につき、WST法、LDHを用いて検討した。【結果と考察】健常人末梢血Cl^--ATPase活性は、リンパ球及び好中球において認められたが、赤血球では認められなかった。他方、Na-K-ATPase活性はリンパ球、好中球、赤血球すべてにおいてその活性が認められた。Aβ25-35(1μM)およびAβ1-42(100nM)はリンパ球Cl^--ATPase活性を有意に低下させ、Na-K-ATPase活性に関しては、低下させる傾向を示した。WSTおよびLDH releaseを用いた細胞毒性の検討では、Aβ25-35およびAβ1-42(100nM)ともに有為な変化を示さなかった。リンパ球は採取が容易であり、リンパ球Cl^--ATPase活性の測定は、アルツハイマー病の早期診断に使用できる可能性が示唆された。 2、抗不安薬ホノキオールのAβ神経毒性に対する効果【方法】ラット海馬神経細胞を用いて、Aβ神経毒性に対するホノキオールの効果およびその作用機序をCl^--ATPase活性、細胞内Cl濃度、WST法、LDHをパラメーターとして検討した。【結果と考察】ホノキオールは、AβによるCl^--ATPase活性低下、細胞内Cl濃度上昇を抑制し、神経細胞障害を軽減した。この効果はGABA-C受容体阻害薬の添加で消失したことから、ホノキオールはGABA-C受容体刺激を介して神経細胞保護作用を表すものと考えられた。
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Research Products
(3 results)