2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞の維持・分化に対するストレスの影響の解析
Project/Area Number |
16500251
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
等 誠司 生理学研究所, 分子生理研究系, 助教授 (70300895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸田 伯子 東京大学, 保健管理センター, 助手 (50343124)
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Keywords | ストレス / 強制水泳 / 新生仔分離 / 神経新生 / 脳室下層 / 海馬 / 神経幹細胞 / Neuroshpere assay |
Research Abstract |
マウスストレスモデルを2種類作製した。1つは強制水泳(直径10cm水深15cmの円筒形水槽で5分間の水泳)で、もう1つは新生仔分離(生後1-14日の新生仔を母親から3時間分離する)である。これらのストレスモデルが情動や認知機能に及ぼす影響を、オープンフィールド試験やモリス水迷路試験で検証した。一方で、これらのストレスが成体脳における神経新生に与える効果を調べるため、2つの方法を用いた。1つは核酸類似物質であるBrdUによる分裂細胞標識で、成体脳では脳室下層や海馬に存在する、分裂能を有する神経前駆細胞がラベルされる。強制水泳ストレスによって、脳室下層や海馬の神経新生(分裂神経前駆細胞の数)が減少する一方で、新生仔分離ストレスでは逆に分裂神経前駆細胞が増加することが判った。この現象の原因を探るため、もう1つの方法であるneurosphere assayを用いた。これは、成体脳の脳室下層に存在する神経幹細胞をin vitroで培養するものである。強制水泳ストレスによって、脳室下層の神経幹細胞は減少していたが、新生仔分離ストレスでは逆に増加していた。これらの結果は、様々なストレスが脳内の神経幹細胞に直接作用し、成体の神経新生を調節していることを示している。今後さらに、神経幹細胞の動態に対するストレスの影響が、抗うつ薬を含む精神作動性薬剤の投与によって修飾を受ける可能性についても検討する予定である。
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Research Products
(1 results)