2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500255
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
舩田 正彦 国立精神・神経センター, 薬物依存研究部, 室長 (20299530)
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Keywords | トルエン / 薬物依存 / ドパミン |
Research Abstract |
トルエンは吸入により乱用されることから、同一の摂取方法で精神依存性および薬理作用を評価することはその依存形成機構を解明するために必須である。本研究では、トルエン吸入装置を開発し、トルエン精神依存形成および運動活性促進作用の発現におけるドパミン受容体の役割について検討した。トルエンの条件付けによって発現するトルエン報酬効果および運動活性促進作用の発現はドパミンD1受容体拮抗薬SCH23390の前処置で有意に抑制された。一方、ドパミンD2受容体拮抗薬sulpirideの前処置では有意な影響を受けなかった。次に、トルエン暴露による側坐核内のドパミン遊離について検討したところ、トルエン吸入により有意なドパミン遊離の増加が認められた。したがって、トルエン精神依存形成および中枢興奮作用の発現には側坐核内のドパミン遊離の増加に伴う、ドパミンD1受容体の活性化が重要な役割を果していることが明らかになった。トルエンの脳内作用部位を同定する目的で、c-Fos発現の解析を行った。トルエン吸入によりlimbic forebrainおよびhippocampusにおいてc-Fos発現の増加が認められ、選択的にこれらの脳部位の神経活性が上昇することが明らかになった。トルエンの作用を解析する上で、limbic forebrainおよびhippocampusの脳部位は重要であると考えられる。また、トルエン精神依存動物のlimbic forebrainにおいて、cAMP量およびリン酸化CREB量が増加していた。したがって、トルエンの慢性吸入によるアデニル酸シクラーゼ系カスケードの変動が、トルエン精神依存形成に重要な役割を果していると考えられる。
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Research Products
(3 results)