2005 Fiscal Year Annual Research Report
小脳核のコンパートメント構築と小脳核入力の統合に関する研究
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16500259
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉原 泉 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60187656)
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Keywords | 小脳 / 小脳核 / アルドラーゼC / ゼブリン / 登上線維 / 下オリーブ核 / 神経解剖学 / ラット |
Research Abstract |
小脳の機能区分は小脳皮質と小脳核の入出力神経回路によって決まるはずである。しかし、小脳全体での機能区分がどのような規則性に基づいて構築されているかは、これまでよく分かっていなかった。しかし、昨年度までのわれわれの研究により、小脳皮質におけるアルドラーゼC(ゼブリン)発現の縦縞上のパタンと下オリーブ小脳投射(登上線維投射)の関係が詳細に明らかになってきた。 これに引き続き、今年度は小脳核のコンパートメントの解析に集中した。ラットの下オリーブ小脳投射軸索を、ビオチン化デキストランの下オリーブ核の各所への微量注入によって標識し、その小脳皮質におけるアルドラーゼC発現の縦縞への投射パタンをまず同定した。その上で、下オリーブ核からの小脳皮質投射の軸索側枝の小脳核側枝の投射をマッピングした。その結果、下オリーブ核から小脳核への投射には、非常に緻密なトポグラフィーがあることが分かった。この規則性をもとに、小脳核にも、小脳皮質と同じように、5グループの構築があることが判明した。グループ1、2、5は、それぞれ大脳・中脳、上丘・前庭核、副視覚系と関係し、アルドラーゼC陽性部分に存在し。グループ3、4は、体性感覚に関係し、アルドラーゼC陰性部分に存在した。更に、プルキンエ細胞を標識したところ、その投射パタンも、このグループ構造に一致し、小脳皮質の下オリーブ核の小さなニューロン集団と、その集団からの投射を受けるプルキンエ細胞の集団は、小脳核の同一の部位に投射するという、下オリーブ-小脳皮質-小脳核間の閉ループの神経回路が一般的に存在することが確かめられた。以上により、小脳核における非常に緻密なコンパートメント構築と、小脳核における規則的な入力統合の神経回路の存在が明らかとなった。
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Research Products
(5 results)