2004 Fiscal Year Annual Research Report
振動型マイクロインジェクション法の有用性の基礎的研究
Project/Area Number |
16500281
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
宮脇 富士夫 東京電機大学, 理工学部, 教授 (50174222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸原 重美 独立行政法人理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, チームリーダー (60252524)
小林 健二 拓殖大学, 工学部, 教授 (40016770)
長谷川 淳 拓殖大学, 工学部, 助教授 (30228449)
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Keywords | 振動型マイクロインジェクション法 / 周波数 / 振幅 / venus / 受精卵刺入時変形率 / 卵細胞培養 / マイクロピペット / 胚盤胞期 |
Research Abstract |
本年度は振動型マイクロインジェクション法の周波数を5kHzとし、振幅は15Vの電圧付加で調節した。従来型のマイクロインジェクション法(無振動型)を対象とし、組換えDNAはvenus、マウスはBDF1を使用した。 1.venus断片化の有無:venusをインジェクションピペットに入れ、上記の振動条件で1時間振動した後に電気泳動を行ったが、断片化は全く認められなかった。 2.インジェクション実験:同一マウスから採卵した受精卵を均等に分配し、無作為に評価した。1本のピペットで1セットの操作を行い、合計14セット施行した。操作卵数はそれぞれ470個であった。但し、インジェクション中に全く組換えDNAが出なかった場合、振動子に異常が発生した場合は評価の対象外とした。 1)受精卵刺入時変形率:マイクロピペット刺入時の受精卵の変形率は、無振動型(N=139)で32.7±6.0%(Mean±SD)、振動型(N=195)で26.2±5.9%(P<0.0001、Student's T-test)であり、振動型の方が有意に変形が少なかった。 2)発生率:前記操作後の卵の発生状況を培養液中で4日間観察した(培養卵は胚盤胞までしか分裂せず、通常4日後に胚盤胞期に達する)。無振動型では465個中72個(15.5%)が胚盤胞期まで進み、そのうち30個(全操作卵数中6.5%)にvenusが発現していた。一方、振動型では305個中87個(28.5%)が胚盤胞期まで進み、そのうち27個(8.9%)が発現していた。振動型の方が有意に胚盤胞期まで進展した(P<0.0001、x^2検定)が、venus発現率には有意差は認められなかった。 また、無振動型では核DNAの引きずり出し現象は14本のピペット中6本(43%)で認められたが、振動型では14本中2本(14%)でしか認めなかった。 以上の結果は振動型の有効性を示すものと考えられる。
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