2005 Fiscal Year Annual Research Report
振動型マイクロインジェクション法の有用性の基礎的研究
Project/Area Number |
16500281
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
宮脇 富士夫 東京電機大学, 理工学部, 教授 (50174222)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸原 重美 独立行政法人理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, チームリーダー (60252524)
小林 健二 拓殖大学, 工学部, 教授 (40016770)
長谷川 淳 拓殖大学, 工学部, 助教授 (30228449)
|
Keywords | 振動型マイクロインジェクション法 / 周波数 / 振幅 / マイクロピペット / 受精卵刺入時変形率 / 核DNA引きずり出し / 胚盤胞期 / 内部細胞塊 |
Research Abstract |
本年度は種々の周波数および振幅の振動型マイクロインジェクション法を評価した。特に、周波数10kHz、振幅7.9nm(振動子レベル)の結果を示す。従来型のマイクロインジェクション法(無振動型)を対象とし、組換えDNAはVenus遺伝子、マウスはBDF1を31頭使用した。 同一マウスから採卵した受精卵を均等に分配し、無作為に評価した。1本のピペットで1セット(30個の受精卵)の操作を行い、合計9セット施行した。 1)マイクロピペット刺入時の受精卵の変形率は、無振動型(N=268)で43.1±5.9%(平均±SD)、振動型(N=211)で35.4±4.5%(P<0.0001、Student's T-test)であり、振動型の方が有意に変形が少なかった。 2)前記操作後の卵の発生状況を培養液中で4日間観察した。無振動型では269個中28個(10.4%)が胚盤胞期まで進み、そのうち4個(全操作卵数中1.5%)にVenusが発現していた。一方、振動型では269個中82個(30.4%)が胚盤胞期まで進み、そのうち10個(3.7%)が発現していた。結局、振動型の胚盤胞期進展率は無振動型の2.9倍(P<0.0001、x^2検定)であり、Venus発現率は2.5倍であり(P=0.1016)、振動型の方が処理後の胚の発生効率が良いことが判った。 3)無振動型では核DNAの引きずり出し現象は9本のピペット中3本(33.3%)で認められたが、振動型では9本中0本(0%)であり(P=0.029、x^2test)、1本のピペットでより多くの操作ができるため経済効率も良いことが判った。 また、その他の周波数・振幅でも同様の結果が得られているばかりでなく、振動型は胚盤胞期の内部細胞塊の細胞への遺伝子導入もより簡単に行えることが判った。さらに、超音波領域の周波数での振動型マイクロインジェクション装置の開発も行っている。
|
Research Products
(4 results)