2004 Fiscal Year Annual Research Report
筋ジストロフィー犬で見出されたプルキンエ線維の選択的障害と心電図異常の関連性
Project/Area Number |
16500283
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
島津 美樹 国立精神・神経センター, 遺伝子疾患治療研究部, 室長 (90373406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 正貴 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30205273)
若尾 義人 麻布大学, 獣医学部, 教授 (20063969)
武田 伸一 国立精神・神経センター, 遺伝子疾患治療研究部, 部長 (90171644)
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Keywords | 筋ジストロフィー / 筋ジストロフィー犬 / プルキンエ線維 / 空砲変性 / 心電図異常 |
Research Abstract |
本研究は、筋ジストロフィー犬(筋ジス犬)の心刺激伝導系プルキンエ線維の選択的空胞変性を生ずる分子病理学的な機序を明らかにすると共に、プルキンエ線維の障害と不整脈を含む心電図異常との関連を明らかにすることを目標としている。特にジストロフィン欠損のDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)では、近年、人工呼吸器の普及により呼吸不全が死因に占める割合が減少し、逆に心不全の割合が増加していることが注目を集めている。そこで、ジストロフィン欠損の筋ジス犬で見出された心刺激伝達系のプルキンエ線維の空胞変性と心電図異常の関連を明らかにすることができれば、DMDの心不全に対する予防策にもつながり、重要な意味を持つ。平成16年度の検討の結果、空胞変性に陥っているプルキンエ線維において、カルシウム依存性タンパク質分解酵素であるμ-カルパインの集積が見出された。μ-カルパインの基質が何であるのかが、最も注目されるが、既にカルパインによる分解を受けることが明らかにされ、拡張型心筋症の病態に関与することが提唱されているcardiac Troponin-I(cTN-I)について検討した。cTN-Iは筋ジス犬プルキンエ線維でのみ分解を受け、しかも、血清中でその分解産物が検出される場合があることが判明した。これらの結果より、血清cTN-Iは少なくとも筋ジストロフィーにおける心筋障害のマーカとして使用できる可能性が生まれた。また、筋ジス犬プルキンエ線維でcTN-Iがカルパインによる分解を受けることが、空胞変性に関わる可能性が高い。そこで、microarray、proteome解析など網羅的な方法も含めて分子病態の研究を更に進めたいと考えている。
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Research Products
(2 results)