2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体解性ポリ(L-乳酸)の残存結晶領域の長期InVitro加水分解挙動および機構
Project/Area Number |
16500291
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
辻 秀人 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (60227395)
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Keywords | ポリ(L-乳酸) / ポリ(L-ラクチド) / 生分解性ポリエステル / 生分解性高分子 / 再生足場材料 / 医用材料 / 残存結晶領域 / 加水分解 |
Research Abstract |
平成17年度は、作製したポリ(L-乳酸)(PLLA)の残存結晶領域の活性化エネルギー評価のために、50,70,および97℃の種々の温度において加水分解を行った。加水分解試料の洗浄、乾燥、および解析を行った。種々の温度における加水分解試料のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により評価した分子量の経時変化より、速度定数(k)を求め、Arreheniusプロットを行い、結晶領域の加水分解に関する活性化エネルギー(ΔE)75.2kJ mol^<-1>を得た。その値は、PLLAのメルト状態における加水分解のΔEの報告値50.9kJ mol^<-1>よりも大幅に高いが、PLLAやポリ(DL-乳酸)(PDLLA)のガラス転移温度(T_g)以下における加水分解のΔEの報告値83.7および83.3kJ mol^<-1>よりも低いことが分かった。このことは、T_g以下におけるPLLAやPDLLAの非晶領域内の分子鎖の加水分解に対する耐性の高さを示唆するものである。 さらに、平成17年度においては、初期高次構造と分子構造の差異が、生成する残存結晶領域とその分解挙動に与える影響を検討した。例えば、L-ラクチド(L-乳酸の2量体)とグリコリド(ラクチドのメチル基が水素に置換された化合物)との共重合体の非晶化試料のリン酸緩衝液中における加水分解挙動においては、GPC、X線回折、示差走査熱分析(DSC)による解析の結果、24週間という短期間の間に、結晶化が進行するとともに、生成した結晶領域付近の非晶領域の分解により残存結晶領域が生成し、これらがさらに分解していることを示す結果が得られている。
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Research Products
(2 results)